目次
Z世代とは?
Z世代とは、1990年後半〜2015年までに生まれてきた世代を指す言葉です。
しかし、実はZ世代の明確な定義はありません。
元はアメリカで提唱された概念「ミレニアル世代」にあり、1980年頃から2000年頃の間に生まれた世代を「デジタルネイティブ世代」と捉えたところから始まっています。
ミレニアル世代に対して、Z世代は1995年頃から2000年代前半までの生まれで、いずれもデジタルネイティブではありますがずっと若く、これから消費の頂点に立とうとする世代だと言えます。
アメリカでミレニアル世代と言われる最初の集団は、すでに40歳を超えていますが、Z世代は最初の集団でも25歳、まさにこれから積極的な購買活動を起こしていく世代です。
マーケターとしては、なんとしてもこのZ世代の特徴を掴まなければなりません。
もうすぐ消費市場のメインとなる「Z世代」については、すでに数々のマーケティング施策が語られています。
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「ソーシャルネイティブ」Z世代とは?
Z世代を理解するのにとても有効な方法が、SNSの側面から価値観を捉えることです。
前項でZ世代はソーシャルネイティブ世代だと述べましたが、SNSの主軸となっているのは「多様性」です。
個性こそ高い価値を持つとするSNSの世界に幼少期から慣れ親しんできたZ世代は、ミレニアル世代とは大きな違いを身につけました。
それが多様性を認める価値観であり、一人一人の個性をリスペクトするのが当たり前という考え方です。
近年世界中でジェンダーなどの社会問題が話題になっていますが、こうした問題に敏感に反応するのもZ世代の特徴です。
情報が早く、膨大な情報の中から自分が共感できるものを即座に見つけ出し、SNS上で賛同することには躊躇がありません。
情報アクセシビリティが高く、それにより常に世界視野で物事を捉えられる、それがZ世代の最大の特徴と言えるでしょう。
Z世代は何に共感する?
Z世代はSNSによってあらゆる壁を超え、共感によって強いコミュニティを築きます。
ではマーケティング視点で見たときに、Z世代は何に対して強い共感性を持つのでしょうか。
この点に関し、世界中の多くのマーケターが実感や成果として口をそろえるのが「本質思考」です。
目の前にある「ひと」「もの」「こと」に対し、それが「本物かどうか」という観点で価値を決め、共感を持つという特徴が挙げられます。
マーケターであればどこかで目や耳にしている表現の中に「これは本物だ」というZ世代の言葉があるでしょう。
この人は本物だ、この商品やサービスは本物だと認めたときにZ世代は強く共感し、その人やブランド、企業を強く支持する行動に出るのが特徴です。
中でもよりよい環境や社会への貢献に強い関心を持つ傾向があり、SDGsなどにも本気で取り組んでいる組織に支持が集まる傾向があります。
ただしその判断基準の根本にあるのはやはりSNSであり、自身が信頼するSNSにおいてリアルな声を集め、その情報をポジティブ/ネガティブ両面から検討し、共感できるか否か、本物か否かを判断する傾向にあると言えます。
「自分ストーリー」も重視
Z世代はSNSが大きな判断基準になっていることから、自身についても同じ価値基準で評価することになります。
つまり、自分自身にも個性や主張を求め、本物であろうとする傾向があります。
そのためあらゆることに「自分らしさ」を求めますし、消費に関しても自分ストーリーにどう貢献するかという基準が物差しです。
近年マーケティングの世界では「モノ」消費から「コト」消費に行動が変わってきていると言われますが、これもZ世代が経験という消費が自分ストーリーにプラスになると判断していることが理由です。
モノに関しても、そのブランドにはどんな意味づけがなされているかを重視しますし、物語が訴求されていることに価値を見出すことに変わりはありません。
SNSによって世界観が高く評価されるのも同様の理由ですし、「D2C(Direct to Consumer)」といわれる、代理店や小売店を介さず製作者が企画生産した商品をSNSなどで消費者に直販する方式が、台頭しているのもZ世代が影響していると考えられます。
Z世代ならではの特徴
それではマーケティング視点で見たときに、Z世代ならではの特徴がどこにあるかをまとめていきましょう。
主に経済活動においては非常に独特な価値観や動きを持っている世代ですので、見誤ると大きく狙いを外してしまうリスクがあります。
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財布の紐は堅いリアリスト
マーケターがZ世代攻略に頭を悩ませる理由は、消費活動においてかなり保守的な世代だからです。
これは特に国内市場において顕著な傾向ですが、Z世代が生まれた1995年頃と言えば日本経済の転換点、バブル経済終焉の年です。
国民が将来に大きな不安を感じた頃に生まれ、阪神淡路大震災や東日本大震災などといった災害も経験しながら思春期を過ごし、就職に至るまでずっと厳しい経済状況の中にあります。
背景を考えれば消費に関して保守的になることは必然であり、所有よりシェアを選択する傾向が生まれるのは当然の流れと言えるでしょう。
そうした意味ではZ世代はまさにリアリストです。
そんな中でモノよりコトに消費が流れるのは、コトだけは自身が経験しなければ得られない価値だからです。
一方でレンタルやシェアードサービス、近年ではサブスクリプション(月額制サービス)などといった新しい消費の形が高く評価されるように、所有ステータスは大きく価値を下げ、持たない消費が主流となっています。
マーケターはこうした価値基準を理解し、どのような商品やサービスを提供するかだけでなく、どのような形で提供するかも深く考えなければならない局面に来ていると言えるでしょう。
「時は金なり」一瞬で拡散
Z世代は飽きっぽいという評価を耳にすることがあります。
なぜなら、膨大な情報をできるだけたくさんチェックしたいと考える傾向があるからです。
マルチタスクだとも言われますが、1日の限られた時間で多くのコンテンツを見るためには、1つのチェック時間を短くして、可能な限り同時進行することが必要となります。
Z世代から絶大な支持を得ているSNSはInstagramですが、その理由はInstagramはストーリーズなどもキャプションが短く、短時間で多く見られる動画や画像がメインだからです。
ビジュアルの強みは一目で理解できる点で、情報交換にも時間を要しません。
企業にとっては同時に一瞬で評価を下されてしまうリスクにも繋がりますが、一瞬で画面をスワイプしていくZ世代は、一瞬で良いと判断する直観も持ち合わせています。
気に入ればどんどんシェアされますし、Z世代は様々なプラットフォームに情報を同時拡散してくれるため、大きな宣伝効果を得ることもできるでしょう。
マーケターとしては一瞬の出会いを重視し、Z世代の時間を取らずにハートだけを獲得する企画を練らなければならないことになります。
信頼した相手はとことんフォロー
Z世代の消費で大きな特徴は、自分が一度認めた相手はとことんフォローする点だと言えます。
例えば、TVCMやネットニュースで何と言われようと食指は動きませんが、自分がSNSでフォローしている相手が評価するものは、何の疑いもなく購入するような消費行動があります。
デジタルネイティブで合理主義のため購入のほとんどがオンラインですが、商品やサービスは自分で選ばず、おすすめされた商品やサービスをそのまま購入するというZ世代は非常に多いです。
経済的安定を求める意識が強く、貯蓄や節約に強い関心を持つ世代だからこそ、お金を使うときに「絶対に失敗したくない」という強い意志があるとも言えるでしょう。
「Z世代」と「ミレニアル世代」を一緒にすべきでない理由
「ミレニアル世代」は「Z世代」より前の世代にあたり、マーケティング的には一括りにすべき世代ではありません。
購買行動の大部分がオンラインで口コミなどネットの評価を選定基準にする点は同じですが、ミレニアル世代は比較的理想を求めるプチ贅沢な購買傾向があります。
自分が満足できる体験やサービスであれば多少高くても構わない、むしろ好きなことにお金を使いたいという欲求がありますが、Z世代にはプチ贅沢したいという感覚がありません。
双方ともコト消費優勢である点は同じでも、Z世代はあくまで実用性にこだわり、リアリストであることが絶対です。
一言で言えば、ミレニアル世代は時に非日常を求めるのに対し、Z世代は常に日常を重視すると言えるでしょう。
大切なのは毎日の自分の暮らしを豊かにすること、生活のクオリティーを上げることであり、そこから逸脱する部分にあまり価値は求めない点が大きな違いと言えます。
InstagramにおいてZ世代向けの宣伝広告をおこなうなら、まず生活に根差していること、本物志向で実用性に優れていることを全面的に打ち出さなければなりません。
ミレニアル世代向けの幻想的な世界観では流用できないことをしっかり認識すべきです。
Z世代が注目するSNSに注目を
博報堂生活総合研究所の2021年4月のレポートによると、アセアン人口の約4分の1がZ世代だと言われています。
(博報堂広報室ニュースリリース参照:https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2021/04/cfe9ab71e19064777628101422c5cb32.pdf)
同社はこの世代をシナジャイザーと名付け、家族や社会と自分がシナジーを生み出し良い影響を与えていきたいと考える世代と定義しました。
日本ではもうすぐ訪れる消費市場の中核をなす重要な世代であり、デジタルネイティブでソーシャルネイティブである新しいジェネレーションとして各社から注目が集まっています。
図らずも新型コロナウイルス感染症拡大に伴って急速に国内にもデジタル化の波が押し寄せています。
コロナの影響もあって、Z世代はさらに存在感を増してくるでしょう。
デジタル社会やガジェットと共に当たり前に育ってきた世代が、商品やサービスを購買する側だけでなく情報拡散の側からも躍進することは想像に難くありません。
そんな世代が好んで利用し、生活になくてはならいSNSこそマーケティング活動の鍵と言えます。
Z世代が使うSNSプラットフォームは何か
Z世代が好んで利用しているSNSについてまとめてみました。
日本のミレニアル世代はガラケーの第一世代にあたりますが、Z世代はスマホの第一世代にあたります。
ガジェットが大幅に進化し、同じデジタルネイティブといってもミレニアル世代とZ世代には雲泥の差がありますので、IT産業の進化も考慮したうえで理解が必要です。
Z世代にとって百聞は一見に如かず、ビジュアルをメインとするInstagramは高く支持しています。
特に評価が高く活用されているのがストーリーズです。
Instagramストーリーズ投稿の最大の特徴は24時間でデータが消える点であり、高いネットリテラシーも有するZ世代にとっては、個人情報のリスクヘッジの意味でも高く評価できるでしょう。
24時間で必ず消える制約は、限られた仲間内で情報をシェアするのに気軽に投稿できるハードルの低いルールです。
インスタグラムを企業が上手く活用するためには、ストーリーズを活かした企画が必要であり、リアルタイム性に必然を持たせたコンテンツの練りこみが必須と言えます。
TikTok
Z世代はTikTokへの食いつきが非常に速かった世代です。
ほとんどがダンスやミュージックといったコンテンツですが、手軽にできる編集技術を活かして広告宣伝に利用する手段はあるでしょう。
注意すべき点は、あまりに広告広告させることで視聴者の気を害さないことです。
もっとも無難な仕掛けはインフルエンサーとのコラボレーションでしょう。
Twitterにはリアルタイム性を求めるユーザーが多く集まります。
マーケティング的にはハッシュタグを活用したキャンペーンなどが多く見受けられますが、膨大な情報の海に埋もれない工夫が必須です。
多くの場合、Twitterのみで企画を仕掛けることはなく、SNSやWebサイト、場合によってはTVCMなども連動させた仕掛けに活用されます。
常に複数のSNSを併用して情報をチェックしているZ世代には合致する手法と言えるでしょう。
17Live
17Live(イチナナライブ)はアジア圏で伸びているライブ配信アプリです。
主に台湾や香港をはじめ、インドネシア諸国で手軽にライブ配信ができる手段として注目を集めています。
配信者が視聴者とチャットできるコミュニケーション機能があり、映像のエフェクトなども簡単で「盛れる」仕様が人気です。
本格的にファンを獲得したいインディーズも多く利用しており、本質志向のZ世代にとっては自分だけが未来のタレントを見つけ出す面白みもあってブームになっています。
ライブ系アプリはさまざまな市場で人気が見られ、どのようにマーケティングにつなげるかは施策が繰り返されている段階と言えるでしょう。
Z世代のSNSマーケティングを成功させる方法・コツ
Z世代をメインとしたマーケティング施策を企画する場合、Z世代のトレンドを深く知ることは必須と言えます。
自身が近しいジェネレーションであればある程度想像がつきますが、客観的に分析するためにはソーシャルネイティブとしての側面をもう少し深く理解する必要があります。
SNSはユーザー一人一人との親和性が高く、個性を重視する傾向の強いZ世代とマッチするプラットフォームです。
例えば、不特定多数の人が無作為に検索するWebサイトの検索エンジンとは異なり、そこには個人の興味や関心、独特のコミュニティがあります。
最近では「もうググらない、タグる」と言われるように、調べ物がある場合でもInstagramのハッシュタグで探す人が急増しているとも言われます。
特にZ世代はタグる傾向が顕著に見られ、約半数はGoogleやYahooなどの検索エンジンを使って調べていない傾向にあると言われています。
例えば、目当ての店や商品も、ミレニアル世代なら検索エンジンで調べて良さそうなものがあれば、画像などを探すのが一般的でした。
Z世代は最初にInstagramで探してビジュアルを「見て」、その印象で判断してから詳しくキャプションを読むといった順番に逆転しています。
SNSのトレンドが重要
Z世代に対するマーケティングでは、まずSNSで何がトレンドなのか、Z世代と同じ目線で情報を探してみるのが一番の近道です。
とても有名な事例で「2020年のダルゴナコーヒー」があります。
韓国のTwitterで話題になったものですが、インスタントコーヒーと砂糖を湯で泡立て、牛乳に載せただけのドリンクです。
4月ころ日本でも新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出が制限され、カフェに行けなくなったZ世代が自宅カフェ風の雰囲気を楽しむ「コト」消費としてはじめました。
SNSに釘付けになっていたユーザーが大注目し、韓国アイドルまでダルゴナコーヒー作りに乗り出し、作っているところの動画配信がされるほど大ブームになりました。
SNSマーケティング的に言えば、こういった最新トレンドをいち早く察知し、インスタントコーヒーメーカーや飲料メーカー、ツール販売企業などがさりげなくブームに乗ることは十分に可能だったでしょう。
流行の波はいきなり来ますし、勢いが凄いです。
最新トレンド情報を知るためには、普段から情報収集の網を張っておくしかありません。
SNSマーケティングには、コストをほとんどかけず世界規模で露出・拡散できるチャンスがあります。
インフルエンサーの起用
Z世代は、自分が本物だと認めたインフルエンサーを強く支持する傾向があります。
ミレニアム世代やY世代などのどの世代よりもリアルな声に敏感なZ世代ですが、信頼できる相手の言うことならあまり深く考えず受け入れる特徴もあります。
広告起用するインフルエンサー選びのコツとしては、Z世代がターゲットなら同じくZ世代のインフルエンサーを起用することです。
理由は、共感を得やすく、仕掛けやすいからです。
もちろん、当人もZ世代ですから、本当に納得したものでなければそもそもコラボレーション自体成り立ちませんが、共感を得られる商材であれば理想的なwinwinの取り引きが成立します。
まとめ
間もなくやって来る消費市場の主役となるZ世代の特徴は、徐々に世界中のマーケターによって分析されてきました。
これまでの世代と違い独特の価値観を持つ本物志向のジェネレーション(世代)ですが、単なるデジタルネイティブではなくソーシャルネイティブであることを理解すれば、一気に近づくことが出来ます。
消費行動を追うなら、まずはSNSをどのように活用しているかを内側から見る必要があります。
マーケター自身がZ世代と同じ目線でSNSを活用し、一ユーザーとして理解したうえでSNSマーケティングに乗り出すことが重要です。
トレンドワードの反響などを見ながらインサイトを掴み、流れに沿うように自然に情報を発信することが、Z世代に近づく最適な手段と言えます。
なかなか一筋縄ではいかないジェネレーションですが、一度信頼を勝ち得れば強固な支持を得られますので、チャレンジする意義は大きいと言えるでしょう。