SNSマーケティングが企業の間で主流になりつつある中、UGCマーケティングが非常に重要視されています。
本記事では、そんなUGCマーケティングについて、
- 企業事例
- メリット
- 成功させるポイント
などを詳しく解説していきます。
目次
UGCとは?
UGCとは、「User Generated Content」を略した言葉です。
日本語では、「ユーザー生成コンテンツ」を意味します。
- SNS
- ブログ
- 動画投稿サイト
- 写真共有サイト
- イラスト投稿サイト
- 電子掲示板(BBS)
- プロフィールサイト
- Wiki
- ソーシャルブックマーク
などで、生活者である一般ユーザーが制作したコンテンツのみが含まれます。
また、企業が作ったコンテンツが含まれないことが特徴です。
例えば、
- Instagramでユーザーが投稿した写真付きのレビュー
- Twitterにユーザーが投稿した商品の感想
- TikTokにユーザーが投稿したショート動画
などがUGCに当てはまります。
UGCマーケティングが重要視される背景
出典:Olapic『Facebook & Instagram Advertising With UGC : A Practitioner’s Guide』
企業がUGCマーケティングを重要視するのは、SNSユーザーの増加に伴って、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が拡散されやすくなったからです。
特に、Instagramが流行してからは、UGCは「生活者の購買意欲喚起」に大きな影響を与える存在となりました。
米国で行われたアンケートでは、生活者の63%が商品購入前にUGCをSNSで探しているという調査結果が出ています。
したがって、過半数以上の方が、一般ユーザーの商品に関するレビューなどを求めていることが分かります。
また、近年では、ネット上で多くの広告を目にする機会があります。
広告の数に対して生活者は、
- しつこい
- 煩わしい
- 怪しい
など、広告への不信感を抱いていることは、少なくありません。
したがって、生活者は「信頼できるデジタル上の情報」として、UGCに価値を見出していると言えます。
新しい生活様式での変化
引用:ニューノーマル時代、企業はSNSをどう活用すべき?「新型コロナがもたらした【新しい生活様式】における消費者のSNS利用実態調査」結果発表
新型コロナウイルスが世界的に流行し、生活様式が大きく変化しました。
変化した生活様式によって、UGCへの価値観も大きく変化しました。
2020年7月にアライドアーキテクツ株式会社が行った調査では、約30%の方が「外出する時間を減らすために、事前にSNSでサービス内容・クチコミチェックが増えた」と回答しました。
外出することを減らすことで、人との接触を避けようとする動きが見えて来ます。
また、約28%の方が「通販・デリバリーのサービス内容・クチコミチェックが増えた」と回答しました。
アンケート結果より、コロナ禍においてのUGCの重要性は、さらに増加していることが分かります。
UGCを活用するための4つの手法と活用事例
企業がUGCを活用するための4つの手法を解説します。
4つの手法は、以下の通りです。
- 企業のLP(ランディングページ)やECサイトなどのオウンドメディアにUGCを掲載する
- SNS広告クリエイティブとしてUGCを活用する
- SNS公式アカウントの投稿素材にUGCを活用する
- 商品の同梱物にUGCを活用する
上記の4つの手法について、それぞれの活用事例と合わせて詳しく解説していきます。
企業のLP(ランディングページ)やECサイトなどのオウンドメディアにUGCを掲載する
引用:株式会社長寿乃里「SHIKARI BRIGHTENING WASH」
LPやECサイトにUGCを掲載することで、サイトに訪れたユーザーの購買意欲を喚起することが出来ます。
また、自社サイトに訪れたユーザーが、サイト内での口コミを参照することが出来ます。
したがって、他サイトへの離脱を防ぐことが出来ます。
制作にかかるコストを最小限に抑え、自社サイトのコンテンツをリッチにすることも可能です。
株式会社長寿乃里の「SHIKARI BRIGHTENING WASH」のLPでは、ハッシュタグ(#)「#Seeme」で投稿された画像を紹介しています。
実際に使用した口コミとしてLPに使用することで、ページ内のコンテンツを増やしています。
また、検索するためのハッシュタグを掲載することで、自分の目で確認できるように工夫されています。
その結果、商品に関する口コミの信頼度を高めています。
SNS広告クリエイティブとしてUGCを活用する
引用:バルクオムの事例で解説!Instagram広告成功のための3つのキホン
SNS広告のクリエイティブにUGCを活用することで、SNSのフィードに馴染みやすくなります。
また、ユーザー文脈で受け入れられやすくなるという特徴があります。
その結果、広告効果の向上に繋がっています。
また、SNS広告では、大量のクリエイティブを投下し、PDCA(計画(Plan)、実行(Do)、測定・評価(Check)、対策・改善(Action))を回していくことが求められます。
しかし、UGCを活用することで、自社の制作リソースを使わずに大量の素材を手に入れることが出来ます。
したがって、PDCAを回すことが容易になりやすいです。
株式会社バルクオムは、20~30代の男性を中心に人気上昇中の「BULK HOMME」を展開しています。
株式会社バルクオムは、SNS広告のクリエイティブにUGCを活用することで、
- CTR(クリック率):165%
- CVR(コンバージョン率):407%
という大きな改善に成功しました。
また、CPA(顧客獲得単価)を約1/3に削減する成果も上げました。
SNS公式アカウントの投稿素材にUGCを活用する
引用:【今すぐマネしたい!キリンビールの公式Instagram運用戦術】UGCを日々の投稿に活用-ファンとのコミュニケーションと安定運用を実現!
SNS公式アカウントの投稿素材としてUGCを活用することで、SNSのフィードに馴染み、ユーザー文脈で受けられるようなクリエイティブを手に入れることが出来ます。
そして、公式アカウントのファンとのエンゲージメント向上に繋がりやすくなります。
また、ファンのUGCを公式アカウントが紹介することで、ファンとのコミュニケーションを取ることが出来ます。
その結果、ファンからの愛着度が向上することにも期待することが出来ます。
キリン株式会社は、公式Instagramアカウントの運用に、UGCを活用しています。
UGCを活用することで、素材収集の運用コストを削減し、投稿本数を増加させることに成功しています。
また、いいね!やコメントなどのエンゲージメントについては、通常の素材を使用した場合に比べて約135%高い数値を記録しています。
したがって、UGCを活用した公式SNSアカウントの運用は、効果が高いことが分かります。
商品の同梱物にUGCを活用する
商品の同梱物にUGCを活用することで、他の購入者がどのような使い方をしているのか知ってもらうことが出来ます。
また、自分が手にした商品が他の多くのユーザーからも支持されていると知ってもらうことで、リピートの促進に繋がります。
POST COFFEE株式会社は、毎月商品に同梱している小冊子に、UGCを掲載しています。
掲載されたユーザーには、「私の写真が掲載されました!」というUGCが投稿されています。
その結果、「私も投稿してみようかな」というモチベーションをアップさせることに繋がります。
また、商品の販売促進にも繋がります。
UGCマーケティングを活用するメリット
UGCマーケティングを活用するメリットについて紹介します。
主なメリットは、以下の通りです。
- 生活者目線のクリエイティブを入手できる
- 制作時間とコストを抑えながらクリエイティブ量を確保できる
- 商品開発や施策改善のヒントになる
上記のメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
生活者目線のクリエイティブを入手できる
UGCは、商品やサービスを実際に利用した生活者のリアルな口コミです。
したがって、企業が発信する情報よりもリアリティが高くなります。
また、企業からの一方的な押し付け感がなく、生活者目線での内容になっています。
そのため、信頼できるコンテンツとして高い効果を持ちます。
制作時間とコストを抑えながらクリエイティブ量を確保できる
マーケティング施策の多様化や煩雑化によって、コンテンツの量と種類の担保は、マーケターにとって重要な課題となっています。
UGCをクリエイティブに取り入れることで、制作にかかる時間やコストを削減することが出来ます。
その結果、クリエイティブを大量に制作することが出来ます。
信頼性と制作量を高めることで、大きな宣伝効果を生み出します。
商品開発や施策改善のヒントになる
UGCは、生活者のリアルな声です。
また、生活者が何を感じて、実生活に商品をどう使っているのかを知ることが出来ます。
したがって、UGCは、企業の商品開発やマーケティング視察の改善に活用できる重要な資産と言えます。
商品に関してリアルな声をUGCを通して集めることが可能です。
UGC活用を成功させるためのポイント
UGCを活用する場合は、ただ闇雲に活用するだけでは成功しません。
UGCをマーケティングで活用するメリットを最大限に活かし、成果を繋げるためには、以下のポイントが重要です。
- UGCを収集・作成する
- UGCを活用・効果検証する
上記のポイントについて、それぞれ詳しく解説していきます。
UGCを収集・作成する
UGCを活用して成果を挙げるためには、UGCの収集から始めましょう。
収集するUGCは、自社に関する様々な種類のUGCです。
そして、UGCを活用してどんな課題を解決したいかによって、最適なUGCの種類は異なります。
例えば、
- 商品の認知を向上したい
- 商品の理解度の促進をしたい
- ECサイトへの新規訪問者のCVRを向上したい
- 商品の継続購入率を上げたい
などがあります。
自社の課題によって、最適なUGCは何かを考えて収集することが大切です。
UGCを活用・効果検証する
UGCを活用する場合、掲載して終了では成果に繋がりにくいです。
掲載終了後は、しっかりとA/Bテストを行い、反応の良いUGCを探ることが大切です。
失敗した内容などを理解し、次回のUGC活用へ活かしましょう。
より高い効果を生み出すために、大いに役立ちます。
運用型UGCとは?
UGCを適切に運用することで、大きな成果に期待が出来ます。
さらに、様々なマーケティングチャネルに活用して幅を広げ、戦略的にUGCを
- 生成
- 活用
- 効果測定
という3つのサイクルを継続して回す「運用型UGC」を実践することで、さらなる成果に繋がります。
顧客の声は、従来から企業にとって大切な資産だと言われてきました。
しかし、積極的な活用は、今まで行われてきませんでした。
これからは、顧客の声という資産を継続的に生み出し、上手く活用することが重要視されてきます。
そして、ブランドの成長に繋がるコンテンツに変換することが当たり前のように行われています。
また、コンテンツへの反応を踏まえて、
- 商品・サービスの開発や改善
- 顧客の声の拡大に繋がる取り組み
などは、どの企業にとってもスタンダード企業活動になると考えられます。
UGC活用時の注意点
企業がUGCマーケティングを行う際の注意点を解説します。
主な注意点は、以下の通りです。
- 著作権
- 薬機法
- ステルスマーケティング
上記の注意点について、それぞれ詳しく解説していきます。
著作権
企業がUGCマーケティングを活用する場合は、投稿者に許可を取る必要があります。
無断で商用に使用する行為は、著作権違反に繋がります。
ただし、モニター施策などの事前に二次活用の許諾を得ている場合は、許可を取る必要はありません。
InstagramやTwitterにおいては、埋め込み機能が存在します。
埋め込み機能は、各プラットフォームが提供する機能です。
したがって、埋め込みをUGCとして使用することが著作権侵害に当たるかは、様々な議論があります。
しかし、投稿に掲載されている画像に対しては、基本的に著作権や肖像権が存在します。
したがって、ユーザーからの許諾を取得する方が無難だと言えます。
薬機法
活用するUGCが、ユーザーによるオーガニックな投稿であるとします。
企業がオーガニックな投稿をを素材に活用することで、企業の表現物の1つとして見なされます。
したがって、薬機法の対象となります。
UGCを選択する際は、薬機法に注意して選択することが大切です。
ステルスマーケティング
企業がインフルエンサーやモニターにUGC投稿依頼を出した場合は、投稿に企業との関係性を明示する必要があります。
関係性を明示しない場合は、ステルスマーケティングになります。
インフルエンサーやモニターにUGC投稿依頼をする場合は、必ず関係性を明示してもらいましょう。
また、UGCの良さは、生活者ならではの言葉で語られていることです。
自然な投稿であるからこそ、信頼性が高まっています。
したがって、UGCを依頼する場合は、依頼した方に自分の言葉で投稿してもらいましょう。
企業側が投稿内容に関して色々と指示だしすることで、UGCとしての効果が薄れます。
また、インフルエンサーの場合は、自身のイメージダウンに繋がる場合があります。
UGC生成を促す4つの手法
UGCを活用するためには、生産者自身にUGCの存在を知ってもらう必要があります。
UGCの存在を知らない場合は、いくら待ってもUGCが自然発生することはありません。
したがって、積極的に企業が関与して、UGC生成を促進していくことが大切です。
企業がUGC生成を促進するための手法は、主に以下の4つです。
- コミュニケーションを取る
- ハッシュタグキャンペーン
- インフルエンサー施策
- UGCが生まれやすい商材を使用する
上記の手法について、それぞれ詳しく解説していきます。
コミュニケーションを取る
UGCを発生させるきっかけを作るには、コミュニケーションを取ることが大切です。
コミュニケーションを取るためには、
- 通販での商品配達時の梱包や同梱物
- メールマガジン
- 公式SNSアカウント
などを活用しましょう。
あらゆる接点を活用して、UGCが発生するきっかけを作りましょう。
また、オリジナルのハッシュタグを作成し、店頭や投稿で告知することも大切です。
購入者が思わず投稿したくなるような場面を創り出すことで、UGC生成の促進に繋がります。
ハッシュタグキャンペーン
ハッシュタグキャンペーンは、特定のハッシュタグを使用した投稿者がプレゼントに当選するキャンペーンです。
プレゼントが用意されていると、多くの方が参加してくれます。
参加方法は、
- 公式アカウントをフォローする
- ハッシュタグを付けて商品に関して投稿する
という2点があれば問題ありません。
あまり難しい参加方法にすると、面倒に感じられて投稿されなくなります。
誰でも参加しやすいように、キャンペーンへの参加のハードルを下げることは大切です。
また、キャンペーンを行う際は、しっかりとキャンペーンの企画設計を行いましょう。
そして、キャンペーン終了後は、次回のキャンペーンに活かせるように、分析を行うことが大切です。
インフルエンサー施策
SNSで影響力を持つインフルエンサーを起用し、自社の商品を体験してもらうことで、UGCを生成することが出来ます。
インフルエンサーには、それぞれ固有のファンが存在します。
したがって、インフルエンサーが使用することで、ファンも同じものを使用したいという気持ちになります。
そして、同様に商品についてのUGCが生成されます。
また、インフルエンサーを起用する場合は、PR表記を忘れないようにしましょう。
ステルスマーケティングになることで、インフルエンサーだけでなく、自社にとっても大きなイメージダウンになります。
さらに、同時に多くのインフルエンサーを起用することは、高い効果を出しづらいです。
多くの方が同時に同じ商品について投稿することで、消費者から反感を買う場合があります。
UGCが生まれやすい商材を使用する
商品によっては、UGCの生まれやすさに違いがあります。
例えば、
- コスメ
- 書籍
- 食品
- 音楽
など、日常会話で話題に上がりやすいものは、UGCが生まれやすい傾向があります。
しかし、こっそりと使用したいコンプレックス商材については、UGCが生まれにくい傾向があります。
UGCが生まれやすい商材かどうか調べるためには、ハッシュタグ検索を行いましょう。
既に投稿されているUGCの内容を確認し、どのようなモチベーションで口コミを投稿しているのか確認することが大切です。
生活者視点に立ち、どうしたらUGCが生成されるのか考えてみましょう。
まとめ
SNSの流行に伴って、UGCは信頼できる情報源として価値がどんどん高まっています。
企業は、UGCを大切な資産と捉え、上手く活用することが大切です。
また、UGCマーケティングの根幹にあるのは、「生活者の感情」です。
商品やサービスに対して、
- 満足
- 感動
- 驚き
などの感情が動くことで、UGCが生まれます。
そして、生まれたUGCによって、感情が動かされる生産者が発生します。
UGCの生成を促進させるためには、様々な接点を作り、コミュニケーションを取ることが大切です。
投稿したいと思わせるためには、まずはUGCについて知ってもらいましょう。
そして、UGCについて投稿してもらった後は、効果測定を行うことも大切です。
改善点について見つめ直すことで、より高い効果を生み出すことが出来ます。