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伸びを見せるTikTok
TikTok(ティックトック)は、特に10~20代層から支持を得る動画作成・共有モバイルアプリで、現在広告出稿先として企業マーケターからも注目されています。
開発したのは北京の有限公司Bytedanceで、サービス開始は2016年になります。
2019年2月にアメリカのSensorTower社が調査した内容によると、TikTokのダウンロード数は全世界で10億を突破しました。(https://sensortower.com/blog/TikTok-downloads-one-billion)
当時推定でFacebookの7億1,100万もInstagramの4億4,400万も軽く超える数ですので、TikTokの人気がどれだけ高いかが理解できます。
TikTokは、これからも伸びが期待できる広告出稿先として、多くの企業が広告展開を狙っています。
国内のTikTok利用状況
TikTokは日本でも順調にユーザーを増やし、2019年2月には日本国内ユーザー数950万人に増えました。
ただ、ICT総研が2018年12月に公表した調査ではTikTok利用率は7.1%であり、数字だけ見ればさほど高いものではありません。
(ICT総研 2018年度 SNS利用動向に関する調査:https://ictr.co.jp/report/20181218.html/)
よくライバルとして比較されるInstagramの利用率は当時36%で、Instagramに軍配が上がる形になっています。
また、利用者満足度もYouTubeの1位に次いで、TIkTokは2位という結果になっています。
それでも、TikTokは今後急激な伸びを魅せる期待があり、今だからこそTikTokに注目すべきと判断する企業も少なくありません。
特に商材のターゲットが合致しグローバル展開を視野に入れる企業であれば、積極的に出稿を検討すべき先と言えます。
TikTokが若年層に人気の理由
TikTokは、手軽に投稿・共有できるショートムービーが主体のSNSです。
TikTokが若年層から支持される理由は、この手軽さにあります。
動画の尺が短く、編集もアプリ内で簡潔します。
手軽に面白いショートムービーが撮れると話題になり人気が高まりました。
動画投稿といえば、YouTubeがダントツの人気です。
しかし、YouTubeで自分のチャンネルを開設し、動画を配信するのには一定の技術を要します。
運営するとなると手間と時間がかかり、気軽とは言い難いのが事実です。
TikTokは、同じ動画SNSでありながら
- 簡単に投稿できる
- 簡単に視聴できる
のが魅力です。
一般の投稿では単に好きな曲(BGM)に口パクで合わせただけの動画やダンスが多いです。
動画編集は、アプリに最初からある編集機能で十分です。
スマートフォンを縦長に使った全画面表示はインパクトも強く、画質もスマートフォンに最適化されているため非常にきれいです。
BGMやエフェクトも簡単に選べて撮影も編集も手軽ですし、初心者でもすぐに使いこなせる点が高く評価されたポイントと言えます。
InstagramとTikTokの人気の違い
Instagramもビジュアルをメインとする大人気SNSプラットフォームです。
各企業は自社アカウントを開設し、様々な情報発信を行っています。
日本でInstagramが人気が出た当初、Instagramは若い女性利用者が多いと考えられていました。
しかし、性別や年齢層の偏りはほとんどなく、幅広い世代に浸透しました。
対して、TikTokは、日本市場で特徴的な偏りが出ています。
マーケティングを行うedamame Japan社が2020年に公開した日本市場の調査によると、TikTokは男性ユーザーが非常に多く、特に40代男性の層が突出しています。(edamame Japan Top Japanese Social Media Apps: Demographics of 7 Major Apps in 2020:https://edamamejapan.com/japanese-social-media/)
10代から40代まですべての層で男性ユーザーが多く、中でも最も多いのが40代です。
TikTok広告を活用する時は、ユーザー層の偏りを認識しておかないと失敗してしまいます。
日本国内でTikTok広告を成功させるなら覚えておいて損はないです。
TikTok広告のフォーマットは3種類
TikTokには現在「TikTok Ads」という広告配信プラットホームがあり、広告出稿する際にはこのフォームを使用してターゲティングを行い、配信を実行することになります。
TikTok Adsは、2019年1月に広告配信プラットホームが全面リニューアルされ、サービスが開始されました。
5~15秒の動画を広告としてスマートフォンの全面表示したり、音による訴求ができたり、SNSで広告を拡散させたりできる工夫があり、まさにスマートフォンに最適化された広告と言えます。
TikTok Adsのメリットは、広告が通常の投稿とあまり差がないため、ユーザーが違和感なく広告を視聴できる点です。
フォーマットは
- TikTok起動画面広告
- TikTokインフィード広告
- TikTokハッシュタグチャレンジ広告
の3種類となっています。
TikTok起動画面広告
起動画面表示広告は、TikTokのアプリ起動時に全画面表示される広告です。
動画やアニメーション、GIF画像アニメーションなどで表示可能で、画像3秒、GIF形式3~5秒という表示時間になっています。
広告の上にリンクを設置しジャンプさせることができるため、外部サイトの自社HPやECサイトへ誘導する導線を引くことが可能です。
アプリ起動時にはほとんどのユーザーが画面を見ているので、露出度は高く印象に残る広告にすることができます。
気に入ってもらえればそのまま拡散してもらえますし、何より訴求力が強いのが魅力ですが、1日1枠に限定されている広告枠です。
高い効果が望める分競争率がかなり高く、確保するのが難しいうえに費用が高額になるのが最大のデメリットです。
TikTokインフィード広告
インフィード広告は、通常の投稿の間に表示され、動画形式で5~15秒の動画を再生できます。
広告上にリンクを設置し外部サイトへ誘導できる点はTikTok起動画面広告と同じです。
もっとも、通常の投稿動画に近しいため自然に視聴しやすく、ユーザーも「いいね」やコメントを付けたりシェアしたりもできるためユーザーによる拡散も狙うことが可能です。
当然クオリティの高い動画を作成する必要がありますが、クリエイティブ次第では反響を得ることができます。
ユーザーが最も利用する「おすすめ投稿」にも表示され、高い訴求力を望める広告です。
ただ、デメリットというものではありませんが、動画のクオリティが高いレベルで求められる点が一つのハードルです。
インフィード広告はしっかり動画広告を作り込む意識が必要ですので、コンセプトを明確に定め、伝えるべきことをしっかり伝えながらユーザーの興味を惹ける内容を出稿してください。
万が一ユーザーに不快感を与えたり、うっとうしいと思わせてしまったりすれば逆効果となり好感度を損ねるリスクがあります。
ターゲットと親和性の高い内容にすることも重要です。
TikTokハッシュタグチャレンジ広告
ハッシュタグチャレンジは、すでにInstagramでもTwitterでもお馴染みの手法です。
ハッシュタグ「#○○」を設定し、それにちなんだ動画を投稿するようユーザーに呼びかける形の広告となります。
自社の商品やサービスに関係する動画をユーザーに投稿してもらい、エンゲージメントを高めるのが主な目的で、UGCの促進や拡散が狙いとなります。
TikTok広告の場合、ディスカバリーページのトップにバナーを設置できるのがメリットであり、そのほかにもアプリ内にコンテンツページを設置することが可能です。
TikTokの運営サイドも全面サポートする広告なので、高い訴求力を持てるのがメリットです。
ただし、「全面サポート=広告費が高額」というのは至極当然のことながら、先に解説した起動画面表示広告やインフィード広告もすべてセットの広告パッケージとなり、コストは高騰します。
タレントを起用したり、企業同士がタイアップしたりといった大掛かりな企画であれば、リターンにつなげられる期待はあるでしょう。
Instagramの「リール」がTikTokのライバルに
InstagramはTikTokとよく比較されるプラットホームです。
そんなInstagramの広告事情に新しく登場が発表されたのが、Instagram Reels(インスタグラム リール)広告です。
Instagramは2021年6月に、TikTokのライバルとなるショート動画プラットホーム「リール」での広告サービスを発表しました。
長さは通常のリール投稿と同じく最大30秒となっており、すでにある24時間で消える動画投稿のストーリーズと同じ、縦型フォーマットになります。
特徴は広告がループし、ユーザーが通常の動画と同じように「いいね」やコメント、共有するほか、保存もできる点です。
この取り組みは2021年からインドやブラジル、ドイツ、オーストラリアなどで試験導入が行われていましたが、その後北米や欧州でもテストを拡大し、導入に至ったものです。
リール広告はユーザーがリールを閲覧するほとんどの場所で目にすることになり、頻度は公表されていないものの高い露出度が期待されます。
TikTok広告との追いかけっこは続く
Instagramのリール広告開始は、TikTok広告の価格が上昇する現状に対抗して開始されたと言われています。
Instagramは他の広告商品と同じようにオークションベースでリール広告を開始します。
しかし、これまでのところクリエイターツールやテンプレートなどの提供はしていません。
ただし、それまでクリエイターがリール上で一般的に入手可能なデータしか見られなかった状況を改善し、今後は、コンテンツが獲得したアカウント数やリールの保存数、共有数などを解析できる機能を追加しました。
Instagramはライブ動画の視聴者数をカウントしたり、同時に見ている視聴者数のピーク数もシェアしたりと、リーチやエンゲージメントの獲得について情報提供することを始めています。
これまでは潜在顧客にリーチするためにはどう動画をカスタマイズすべきか参照できるデータがありませんでした。
しかし、TikTokが実施している分析のようにデータをクリエイターに提供する環境が整ったと言えます。
億を超える月間アクティブユーザーを抱える両社がこのような技術の追いかけっこを続けている状況は、企業やマーケターにとっては喜ばしい事実です。
TikTok広告の効果を最大化させる動画マーケティングとは
TikTok動画広告を成功させるために重要なことをまとめました。
広告形式にはあえてこだわらず、効果を最大化させるためのポイントを解説します。
縦長全画面でインパクトを
TikTokはスマートフォンの画面に特化して最適化されています。
これまではPCで制作した動画をスマートフォンで表示することが多かったため、横長比率も多く存在しました。
スマートフォンは縦長で使ってこそ、最大のパフォーマンスを発揮できます。
クリエイティブは確実にスマートフォンを意識し、仕様に合わせたインパクトの強い動画を制作してください。
動きの多さで目を惹く
一般ユーザーの投稿でも、ダンス動画を短い時間で次々につなぎ合わせることで、動きを最大化させるものが人気を博しています。
TikTok広告は通常動画と同じく15秒です。
15秒の中に動的効果を最大限入れ込むことで目を惹く動画にまとめることが大切です。
ただし、訴求したい要素がしっかり伝わるようにすることは重要です。
ユーザーを巻き込む
TikTok動画の投稿で最初に人気が出たのは、好きな音楽に口パクして、あたかも自分が歌っているように見せる簡単ないたずら動画です。
ハリウッドスターが真似したことで一時ブームになりましたが、動画を見たユーザーが「自分もやってみたい」「自分にもできる」と感じられる親和性を提供し、巻き込むことがコツです。
ダンスの振り付けを真似したりミュージシャンを真似したりする投稿が多いですが、すぐに真似できる仕掛けを広告に盛り込むことでブームを作ることも可能です。
ハッシュタグも活用し、SNSのトレンドを取り入れることも大切です。
スキップされる前にアピール
TikTok動画広告は、見たくなければ一瞬で停止してしまうことが可能です。
YouTube動画広告と違って、TikTok動画広告はとても短いため最後まで見てもらえる期待は高いです。
しかし、ユーザーが見たいか見たくないかを一瞬で選べる点は変わりません。
動画の開始2秒程度でどんな印象を持ってもらうか、興味を惹ける企画が必要です。
もちろんアピールしたいものをアピールするのが広告ですので、その点も忘れないでください。
インフルエンサーを起用
TVCMにタレントを起用するのは、視聴者に興味を持ってもらいたいからです。
タレント起用は、TikTok動画広告でも同じです。
SNSの世界では、SNSの世界で影響力を持つインフルエンサーを起用するのが最も現実的です。
インフルエンサーのアカウントをフォローしている人は動画広告を見てくれます。
インフルエンサー自身が情報を拡散することで新たな見込み客にリーチする期待があります。
広告感を強くしない
ガツガツ広告感(PR感)を出してしまうと、広告スキップされてしまう恐れがあります。
SNSユーザーは広告感の強い広告を嫌う傾向があります。
世界観や空気感を壊さないように、ユーザーとの親和性にも注意を払う意識が大切です。
導線を作る
広告を見てもらった後の、導線をしっかり作り、ユーザーが次のアクションに移りやすいような広告が理想です。
- 問い合わせ先
- 実店舗へのアクセス
- 自社HPへの誘導
など、わかりやすい文言を表示することで行動を促すことが大切です。
TikTok動画広告の制作の流れ
TikTok動画広告を初めて制作しようと思っても、何から手をつければ良いか分かりません。
内製でなく、外部にアウトソーシングに出すことは簡単です。
広告制作を外部に丸投げしてしまうと、
- 予算を用意しなくてはいけない
- ノウハウが得られない
- 目的達成力が低くなる
などのデメリットがあります。
動画広告はどのように作るのか、どういった点に重きを置くべきなのか、TikTok動画広告の制作の流れを解説します。
TikTok動画広告の制作の流れ
- 企画
- 制作
- 公開
ステップ1:企画
まずは、どのような動画を制作するか、企画を立案します。
難しく考える前に、シンプルにまず「誰に何を伝えるか」、その結果「何を得るか」を考えてください。
誰に何を伝えるかという部分は、比較的イメージしやすいです。
ターゲットを明確にして、商品やサービス、企業のブランドなどアピールしたいものを決定すればOKです。
企画で大事なことは、最終的に何を得るかという部分で、Webマーケティングでいうコンバージョン(CV)にあたるものをしっかり定めておくことです。
「サービスの存在を伝えて会員登録数を増やす」といったように、具体的な内容と数値を決めましょう。
次に、動画のプロットを組んでシナリオを決めます。
長さとテイストを決めたら、スケジュールを決めて予算を出すところまでが企画です。
ステップ2:制作
実際に動画広告の制作を行います。
撮影が必要な場合や音声収録が必要な場合もあります。
素材が揃ったら、不要な部分をカットしたり、複数の素材を繋げ合わせたりします。
カットやつなぎ合わせた動画に
- テロップ
- 音
- ナレーション
などを付けて完成させます。
通して流してチェックします。
修正すべき点が見つかった場合は、再編集します。
動画のチェックは制作した人とは違う人にダブルチェックしてもらうことでミスを防ぐことが可能です。
ステップ3:公開
プラットフォームの広告設定サイトで配信内容を設定します。
設定できる項目は、
- ターゲットの設定
- 地域
- タイミング
- 期間
- 予算
など細かく用意されています。
設定は適当ではなく、すべて適切に設定する必要があります。
TikTok動画広告制作のポイント
TikTok動画広告は、それぞれの目的があって出稿されるものです。
広告の制作で大切なことは「ユーザーに分かりやすくする」ことです。
最初の数秒が勝負ということは前述しました。
広告にストーリー性を持たせるなどの「最後まで視聴してもらえる工夫」も大切となります。
ブランディング目的ではない場合でも、認知拡大のためには「ロゴを明確に打ち出す」ことも大切です。
TikTok動画広告は訴求力が期待できる
TikTokの動画広告は、人気のSNSを活用した訴求力の大きい広告手段です。
近年は、動画制作の内製化がしやすい環境です。
内製化しやすい理由として、
- 撮影機材の性能向上
- 手軽に動画編集できるアプリ・ソフトが多くなった
- YouTubeに動画制作のハウツー動画が多くなった
などが挙げられます。
動画制作の初心者でも、早くて数時間で制作できます。
凝った動画広告でも1〜2日あれば十分作れます。
社内で動画広告を作ることが難しい場合には、外部の制作会社に依頼することもできます。
外注する場合は、クオリティと価格のバランスが取れているか確認し、質の高い動画広告に仕上げる必要があります。
動画広告には、目的別に制作ポイントがあります。
なので、狙い通りの効果を生み出せるよう企画内容はしっかり自社で練り込むことが大切です。
ターゲットによっては、TVCMよりSNS広告の方が大きな影響力を持つと言われています。
今後を見据えて、ぜひ動画マーケティングにチャレンジしてみて下さい。