熱狂的なファンを起用するアンバサダーキャンペーンとは？内容・選出方法・事例などを解説

アンバサダーとは？

アンバサダー（Ambassador）とは、英語で

• 代表
• 大使

などの意味のある言葉です。
日本では、「親善大使」などの意味合いで使用されることが多いです。

ビジネスで使用されるアンバサダーは、商品やサービスに対して、熱烈なファンという意味があります。
そして、アンバサダーを起用したマーケティングをアンバサダーマーケティングと呼びます。

アンバサダーマーケティング

アンバサダーマーケティングとは、アンバサダーを起用したマーケティングのことを指します。
アンバサダーを起用することによって、自社の製品に対して、ポジティブな口コミや感想を自身のSNSなどで発信してくれます。

また、アンバサダーは、自社に対しての熱量が高いため、積極的に活動してくれます。
積極的に質の良い情報を発信してもらうことで、ユーザーから関心を持ってもらいやすくなります。

アンバサダーキャンペーンとは？

アンバサダーキャンペーンとは、アンバサダーマーケティングの一環で、アンバサダーを用いたキャンペーンのことを指します。
製品やブランドのPRに協力してくれるファンを募集し、

• 製品を使用した感想などのフィードバック
• SNS投稿による製品の口コミ

などを行います。

また、SNSを積極的に投稿してもらうだけでなく、座談会など様々なリアルイベントの参加やアンケートを行っています。
より細かい投稿内容の指定や通常のタグキャンペーンでは難しいような活動などを要望できます。

アンバサダーを起用した口コミのマーケティングが盛んに行われ、効果的であると注目されています。

アンバサダーキャンペーンの内容・選出方法

アンバサダーの選出方法として、

• 会員から募る方法
• 公募（いわゆるアンバサダーキャンペーン）をかける方法
• SNSでのスカウト

などがあります。
それぞれの選出に対して、どのような基準によってアンバサダーを選出するのかを説明します。

候補者の影響力を確認する

アンバサダーに選ばれる候補者は、ある程度の影響力が無ければなりません。
全く無名のユーザーをアンバサダーに任命しても、宣伝効果が薄くなります。
したがって、影響力の確認をするために、アンバサダー候補者の普段の投稿についてエンゲージメントを見ます。

また、影響力が大きくない場合は、多数のアンバサダーを採用することがあります。
質より量という方法で、一度に100名のアンバサダーを採用する例もあります。

企業とイメージが合う投稿をしている

アンバサダーに選ばれる候補者は、投稿の質について重要視されます。
企業のイメージと合っていない候補者をアンバサダーに任命すると、企業のイメージアップには繋がりません。

また、購買行動の向上へも繋がりにくくなります。
したがって、投稿しているジャンルや方向性の相違がないかの確認が重要となります。

ターゲット層とマッチしているか

アンバサダーに選ばれる候補者は、ターゲット層とアンバサダーの層や属性がマッチしていることが必要となります。
例えば、ターゲット層が20代女性であるのに対し、60代男性をアンバサダーとして起用するとします。
ニーズや観点がずれているため、イメージアップや購買行動の向上には繋がりにくくなります。

アンバサダーキャンペーンで選ばれるには

アンバサダーキャンペーンでアンバサダーとして選ばれるためには、どのようにすれば良いのか解説します。

アンバサダーになりたい企業を考える

まず、どこのアンバサダーになりたいかを決めましょう。
アンバサダーキャンペーンは、企業やブランドのHPやSNSで募集しています。

• 募集内容
• 企業理念
• キャンペーンの目的

などは、企業やブランドによって異なります。
したがって、上記の点が自身と合致しているかどうかが重要です。

SNSでの影響力を高める

SNSでの発信力が必要で、大きな影響力を求められます。
影響力は、フォロワー数だけではなく、

• 投稿の頻度
• エンゲージメント率の高さ
• 投稿内容の質

なども重要と言えます。
ただフォロワー数が多いだけでなく、しっかりと効果のある投稿となるのかが重要視されます。

企業やブランドに対して共感や愛情を持つ

アンバサダーとして活躍したい企業やブランドに対して、共感や愛情を持っていることが大切です。
企業やブランド側は、ポジティブな投稿をしてくれることを期待しています。
したがって、企業やブランドに対して好意的でなければなりません。

商品のファンであれば、ユーザー目線で魅力や特徴を理解した上で情報を発信できます。
投稿などで情報を見た受け手側からしても納得感が得られます。

アンバサダーのメリット

アンバサダーに対して、どのようなメリットがあるのかを説明します。

インフルエンサーより高い影響力を周囲に与えることが出来る

インフルエンサーは、フォロワーが多いため、リーチ数だけを考えると非常に効率が良いです。
しかし、同じインフルエンサーの中でも、インスタグラマーは少し遠い存在だと思う人が多いです。
質のいい投稿内容だとしても、身近に感じてもらえないことがあります。

逆に、リアルの友人などの口コミに興味をもつ人の割合は多いです。
公式サイトなどでの宣伝よりも、自分と同じ立場の一般ユーザーに口コミを信用している人が多いです。

したがって、一般ユーザーがアンバサダーになり、SNSに投稿してもうことで、大きな影響を与えることが可能となります。
さらに、すでに熱量の高いファンであるため、投稿を通してライトなファンなどに企業やブランドの良さが伝わります。

ファンと直接交流や意見交換が出来る

企業やブランドのファンと直接交流できることは、なかなかありません。
したがって、企業の広報担当やマーケティング担当にとっては、ファンと接する機会は、良い機会と言えます。

ファンとの直接交流することで、

• どんな思いで商品を使用しているのか
• どんな商品があったら嬉しいのか

など、よりリアルな声を聞けるため、商品企画へ反映できます。

また、ファンにとって、好きなブランドなどの商品企画担当などと直接交流できることは、嬉しいことです。
さらに、自分の声が反映されたりすれば、企業への好意は深まります。

ポジティブな口コミが期待できる

宣伝意識が強い広告や広告の使いまわしは、ユーザーに拒否されやすく、品質の低下を招いてしまうことがあります。
商品やブランドのイメージを上げるために、ユーザーに嫌われない宣伝をしなければなりません。

また、商品のリアルな口コミを求める人が増えています。
そのため、一般ユーザーの商品のポジティブな口コミが非常に重要なポイントになります。
アンバサダーの投稿は、口コミの数を増加させるのに非常に効果的です。

アンバサダーのデメリット

アンバサダーに対するデメリットを説明します。
デメリットについてあらかじめ理解しておくことで、より良い結果を出すことに繋がります。

アンバサダーの発見は困難なことがある

アンバサダーを発見したり発掘することは、非常に困難です。
フォロワー数が少ないと、

• 情報をリーチできる範囲が狭い
• コアであるファンの母数が少ない

など、影響力が小さくなってしまいます。

フォロワーが少ない場合は、複数人アンバサダーを起用することによってカバーが出来ます。
しかし、会社や商品・サービスによっては、コアなファンの発見・発掘が難しい場合があります。
したがって、複数人のアンバサダーを確保するのが難しい現実があります。

もし、人数でフォロワー数をカバーした場合は、投稿するタイミングなどに注意が必要となります。
例えば、複数のインスタグラマーたちが、同じブランドや商品・サービスの宣伝をし始めたとします。

投稿を見た他のユーザーは、投稿内容に出てくるブランドや商品・サービスに不信感などを抱かれる恐れがあります。
どれだけ魅力的な情報だとしても、発信者や発信企業に信頼感がなければ、商品に興味を持ってもらうことは難しいです。

長い期間でのPR活動が必要

アンバサダーマーケティングの欠点として、インフルエンサーマーケティングのような短絡的な施策ではあまり効果が見られません。
したがって、長い間PR活動をしてもらう必要があります。
長い期間PR活動が出来るか分からないユーザーをアンバサダーにしてしまうと、効果が実感できずに終わってしまう可能性があります。

アンバサダーマーケティングを利用したキャンペーン事例【12選】

アンバサダーマーケティングを利用したキャンペーン事例を紹介します。
アンバサダーを起用してキャンペーンを行おうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ホテルニューオータニ

ホテルニューオータニは、日本17か所に存在する大手企業の株式会社ニューオータニが運営するホテルです。
ホテルニューオータニが行ったアンバサダーキャンペーンは、思い出に残るホテル体験を発信するアンバサダーの募集です。

アンバサダーには、Instagramの投稿を通じて「ホテルニューオータニ（東京）」について情報を発信してもらいます。
アンバサダーに起用されることで、投稿内容や適性に合わせ、ホテルから投稿の依頼やイベントの正体を受けることが出来ます。

例えば、

• 新作スイーツの試食
• 新装ルームへの試泊
• 各種イベントへの参加

などが主な活動となります。

SPICA GLOW

SPICA GLOW（スピカ グロー）は、大人女子の勝負服というコンセプトを掲げる女性ファッションブランドです。
SPICA GLOWが行ったアンバサダーキャンペーンでは、SPICA GLOWの洋服をコーディネートして写真を投稿するアンバサダーを募集しました。

アンバサダーに任命されることで、サイトに掲載されている洋服の中から、毎月1~3コーディネート分が無料で進呈されます。
また、公式アカウントの投稿にて、タグ付けをしてもらえます。

ブランドのファンにとっては、非常に嬉しい内容となります。
熱意を持ったファンをアンバサダーに任命することによって、質の良い投稿に期待できます。
したがって、ブランドとアンバサダーのどちらも得をする良いキャンペーンとなりました。

おやつカンパニー

おやつカンパニーは、ベビースターラーメンなどのお菓子で有名な大手企業です。
おやつカンパニーが行ったアンバサダーキャンペーンは、誰でもアンバサダーになることが出来るという内容です。
アンバサダーの登録フォームから申請することで、アンバサダーになることが出来ます。

アンバサダーになることで、指定のハッシュタグを使用して、商品についての投稿を行います。
投稿を行うにつれて、ポイントが貯まります。
ポイントが貯まることで、ランクがアップし、ランクに応じてサプライズが用意されています。
また、オリジナルのノベルティがもらえるなどの特典も存在します。

熱狂的なファンにとっては、特別なノベルティがもらえることは嬉しいことです。
また、他の人にも好きになってもらえることで、仲間が増えて嬉しい気持ちになります。
したがって、アンバサダーになることで、より熱心にファンとして活動してもらえます。

Nestle

Nestle（ネスレ）は、スイスのヴェヴェーにある売上高世界最大の食品メーカーです。
また、コーヒーのNESCAFE（ネスカフェ）でお馴染みの企業です。

ネスレが実施したアンバサダーキャンペーンは、ネスカフェアンバサダーを募集するという内容でした。
ネスカフェアンバサダーは、職場やコミュニティにて、ネスレのマシンでコーヒーなどを楽しむサービスです。

ネスカフェアンバサダーになると、

• マシン使用料0円
• 1杯20円から多彩なカフェメニューを楽しめる
• 無料のマシン保障

などが特典としてあります。

ネスカフェアンバサダーは、基本的には他のアンバサダーのように、SNS投稿によって宣伝したりする必要はありません。
職場やコミュニティにカフェコーナーを設置するだけです。
誰でも出来てみんなが喜ぶシステムをネスレは提供しています。

TAYLOR SWIFT

TAYLOR SWIFT（テイラー・スウィフト）は、世界で有名なモデルや歌手として活躍している女性です。
テイラー・スウィフトが実施したキャンペーンは、テイラー・スウィフトを日本で盛り上げる公式アンバサダーを募集するという内容でした。

アンバサダーになると、Twitterを利用して魅力をアピールしてもらいます。
具体的には、「#テイラーアンバサダー」というタグを付け、写真や動画の投稿をしてもらいます。

貢献度の高いアンバサダーには、特別なプレゼントや案内が優先的に送られてくるという特典があります。
ファンなら非常に嬉しい内容となっています。

nanoblock

nanoblock（ナノブロック）は、玩具メーカーの株式会社川田が運営する世界最小級のブロックです。
ナノブロックが実施したキャンペーンは、ナノブロックアンバサダーを募集するという内容でした。

ナノブロックアンバサダーに起用されると、

• SNSの投稿により、ナノブロックの魅力を発信する
• イベントやモニターへ参加し、感想を発信する
• 定期的なアンケートに回答する

などを行います。

ナノブロックの良さをもっと知ってもらおうというプログラムになっています。
したがって、熱狂的なファンをアンバサダーに起用することで、魅力をより伝えることが出来ます。

DHC

DHCは、様々な健康健康食品を取り扱っている株式会社DHCが運営するブランドです。
DHCが実施したキャンペーンは、ブランドアンバサダーを募集するという内容でした。

DHCが取り扱っている製品の魅力を、多くの方に向けて発信することが主な活動内容です。
ブランドアンバサダーとして紹介した商品が購入されることで、換金可能なポイントがもらえるというシステムになっています。
また、新商品のモニターや商品展示会などの招待を受けることも出来ます。

キリン

キリンは、キリンビールでお馴染みの清涼飲料水などを中心に様々な食品を取り扱う企業です。
キリンが実施したキャンペーンは、キリン公式オンラインショップDRINXで販売されているクラフトビールの公式アンバサダーの募集です。
「クラフツビールのある週末」を素敵に撮影するアンバサダーとして、100名の募集を行いました。

アンバサダーに任命されると、キリンのクラフトビールのセットがもらえます。
そして、写真を投稿し、優秀者に選ばれた場合は賞金が用意されています。

ビールはもちろん、写真を取ることが好きな方にとっては、嬉しい内容となっています。
また、フォトコンテストとしても楽しむことが出来るキャンペーン。

カンロ飴食堂

カンロ飴食堂は、カンロ株式会社から発売されているカンロ飴を使用した絶品料理を紹介するレシピサイトです。
カンロ飴は、1954年に発売され、70年近くの歴史のあるキャンディーです。

カンロ飴食堂が実施したキャンペーンは、カンロ飴を使用したレシピを発信するアンバサダーを募集するという内容でした。
アンバサダーに任命されると、毎月1回以上のカンロ飴を使って作った料理写真をインスタグラムへアップします。

また、アンバサダー特典として、

• カンロ飴食堂レシピ本1冊
• カンロ飴3袋
• 塩のカンロ飴1袋
• ミルクのカンロ飴1袋

というアンバサダーセットがもらえます。

Instagramに投稿する料理には、アンバサダーセットにあるレシピ本などを参考にして作ります。
また、投稿には、指定のハッシュタグを使用して投稿します。

料理が好きな方を中心に、カンロ飴が好きな方に向けたアンバサダーキャンペーンとなりました。

いいちこ

いいちこは、三和酒類株式会社が販売する麦焼酎です。
いいちこが実施したキャンペーンは、アンバサダーを募集するという内容でした。

いいちこが求めるアンバサダーは、

• いいちこの新しい楽しみ方を考えてくれる方
• いいちこが好きな方
• いいちこの魅力を周りに伝えてくれる方

という方々です。
アンバサダーに任命されると、「#いいちこアンバサダー」を付けてSNSでいいちこの魅力を発信します。

また、いいちこアンバサダーになると、いいちこの情報がいち早く届きます。
そして、モニターやイベントなどの限定企画の案内が届くなどの特典があります。

Xperia

Xperia（エクスペリア）は、ソニー株式会社が販売するスマートフォンです。
Xperiaが実施したキャンペーンは、アンバサダーを募集するという内容でした。

Xperiaのアンバサダーは、ブログやSNSでどのような投稿がされているか審査されます。
商品の魅力や価値を正しく伝えられる人を審査によって選出します。

アンバサダーは、新製品のモニターや体験会への参加によって、製品の良さをSNSを通じて投稿します。
熱量のあるXperiaファンを採用することによって、多くの方に宣伝することが出来ます。

濃い茶飴

濃い茶飴は、日進製菓株式会社が販売する製品です。
濃い茶飴が実施したキャンペーンは、アンバサダーを募集するという内容でした。

アンバサダーに選ばれると、濃い茶飴に関する投稿を活動期間中に2回以上行ってもらいます。
また、投稿には、指定のハッシュタグを使用します。
Instagramの場合は、ストーリーズ投稿を利用することが推奨されています。

アンバサダーが投稿した写真や内容は、日進製菓株式会社のHPや販売サイトなどで二次利用する場合があります。
したがって、ファンの場合は、自分の投稿が取り扱ってもらえることを嬉しく思います。

また、アンバサダーとしてアピールするために、製品が提供されます。
自分の好きな製品が提供されるのは、ファンにとって良い特典です。

まとめ

企業は、大量のフォロワーを抱えたインフルエンサーにキャンペーンへの協力を依頼することが多いです。
しかし、一般のユーザーが影響されるのはインフルエンサーではありません。

友人や知人などの、自分に近い存在であるほど、親近感が湧き、情報の信頼度が高まります。
したがって、有名なインフルエンサーだけでなく、一般人を採用するためのアンバサダーキャンペーンを実施する企業は多いです。

アンバサダーキャンペーンでは、アンバサダーを採用し、SNSなどで製品について投稿してもらいます。
アンバサダーに応募する方の特徴としては、企業の熱狂的なファンであることが多いです。
したがって、製品について魅力的なアピールを可能にします。

アンバサダーの活用を考えている方は、一般人の利用を考えてみてはいかがでしょうか。