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Instagramでアンバサダーを起用するマーケティングが主流の時代
「アンバサダー」という言葉自体は、日本でもすでに浸透していると言えるでしょう。
意味は親善大使であり、SNSに限らずさまざまなマーケットで実施されているのが、アンバサダーマーケティングです。
SNS全盛期の現在においては、あらゆる形でブランドの好意的情報を発信する大切なファンであり、その情報をもとにユーザーが購買行動に移るのがポイントです。
つまり愛されているメーカー側にとってはとても有り難い存在であり、大切な固定ファンだと言えるでしょう。
アンバサダーマーケティングは、これから先も費用対効果の期待の大きいマーケティング手法です。
企業が起用を計画するなら、まずアンバサダーを理解する必要があります。
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アンバサダーとはどんな人物が該当する?
アンバサダーとは、親善大使を意味する言葉であり、マーケティングにかかわらず世界的な文化交流においても起用されるポストです。
マーケティングにおいては広告塔であり、自発的に対象商品やサービスに対する好意的な情報を広めてくれる稀有な人物です。
企業がアンバサダーとして任命する際、もともとファンだったことから仕事としてオファーするスタイルも少なくありません。
これがSNS時代になり、芸能人でなく一般人でも熱意を認めた企業が特定の個人をアンバサダーに任命するケースが増えています。
またマーケティング的に見ればインフルエンサーとアンバサダーは明確な違いがあります。
アンバサダーとインフルエンサーの違い
SNSで情報発信と言えば、インフルエンサーが有名です。
確かにインフルエンサーとアンバサダーは混同やすい存在ですが、明確に異なるのが「強い愛」です。
アンバサダーは何も言われる前から対象を熱心に愛用し、誰からも頼まれていないうちから強くそれを推奨している人物になります。
その熱意に感謝を示し、メーカー側がオファーすることでアンバサダーマーケティングが成立します。
但しここまでSNSが浸透する前までは、メーカー側がそうしたファンの活動をつかむことが難しかったことから、アンバサダーマーケティングはなかなか振るいませんでした。
数勝負ではなく内容勝負なので、広く浅くではなく狭くとも深いマーケティングと言えるでしょう。
リアルな情報、生の声、熱意の強さがアンバサダーの魅力であり、そこに固定ファンの数はさほど関係しません。
その人自身に興味のないユーザーでも、その人が強く推す商品やサービスに興味を持てればそれでOKです。
時代をつかんだアンバサダー
もはや宣伝と言えばテレビCMや雑誌だけという時代ではないことは、ご存知の通りです。
昔はPRと言えばそうした大手メディアが一強で、アンバサダーマーケティングも活用されてはいたものの、結局は芸能人による広告と差別化できない状況だったことは否めません。
現在はSNSで、誰もがいつでも好きなように情報を発信できる土壌が整っています。
ここで俄然、輝き始めたのがアンバサダーです。
同時に多くのユーザーがいわゆる「広告」をスルーするようになり、さらにリアルな口コミや個人からの情報を信頼するスタイルに変化したことも要因となりました。
実際に使用した使用感・口コミなどをユーザーは求めている
商品やサービスを吟味するときに、
- 「実際に使用した人の声が聞きたい」
- 「デメリットもきちんと知りたい」
といった要望が強くなり、アンバサダーの声にユーザーが集まるようになりました。
アンバサダーに共感できればユーザーはアンバサダー自身のファンになり、アンバサダーが愛するものをともに愛するようになります。
近年、インフルエンサーのあからさまな宣伝行為に嫌気が差してきたユーザーは、あえてリアルな物言いをするアンバサダーに集まっています。
企業はこうしたアンバサダーを橋渡しに、なかなかリーチできないユーザー層に好意的な情報を発信できるようになったのです。
SNSにおいて、昔から変わらないアナログ的な情報伝達手段である口コミが、非常に強い宣伝広告力をもつことはすでに多くの企業の知るところでしょう。
アンバサダーマーケティングのメリット
あえてインフルエンサーマーケティングではなく、アンバサダーマーケティングを選択する意義はどこにあるのでしょうか。
そもそも自社にマッチするアンバサダーを見つけることも難しいのに、わざわざアンバサダーを探してまで実施することのメリットを挙げてみましょう。
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1「ファンとコミュニティーを築ける」
企業がアンバサダーというポストを介してファンと交流すると、普段なかなか接することができない消費者と接する機会を持てます。
今まで聞きたくても聞けなかった感想などを企業担当者が直接聞けるため、その後の製品開発におおいにプラスになるでしょう。
リレーションを構築すれば、中長期的に自社にとって有意な情報配信をおこなってくれるユーザーのコミュニティーを確保できることがメリットです。
2「アンバサダーのデータを得られる」
アンバサダーというポストを利用することで、固定ファンの貴重な情報を得られます。
多くの場合、アンバサダーになるため所定のサイトにアンバサダー登録をしてもらう手法を取りますが、このデータが貴重なファン層のデータになります。
蓄積されていたアンバサダーのデータは、その後のマーケティング活動においても存分に活かせます。
無作為なサンプリングではなくアンバサダーを起用したサンプリングのほうが、より高い効果を生むことは想像に難くありません。
より質の高い口コミを拡散できることも大きな財産です。
また熱心なファンからの有益なフィードバックは貴重な情報源です。
たとえネガティブなコメントであっても、大前提として熱烈なファンであるため、改善につながる貴重な意見の吸い出しがおこなえるでしょう。
3「共感される口コミが得られる」
アンバサダーは元からのファンであり、自身でこだわりある情報発信をおこなってきた実績があります。
第三者として丁寧な意見を挙げてきたユーザーが多いため、その口コミは一般のユーザーからリアルに受け入れられやすく、賛同や共感を得やすいのがメリットです。
例えば芸能人がPRしても、仕事で言っているだけと捉えられ、あまり共感は得られない時代です。
アンバサダーであれば押し売りの印象がなく、リアルな感想としてポジティブに受け止められるのがメリットです。
もちろん訪問者は見込み客ですので、取りこぼしのないよう対応すれば購買につながりやすい顧客であると言えます。
アンバサダーマーケティングにデメリットはあるか?
アンバサダーマーケティングでのデメリットは、質の高いアンバサダーを探すのが難しいことです。
多くの企業がキャンペーンなどをおこないアンバサダーの応募を募っていますが、なかなか起用できるファンを見つけ出すのは容易ではありません。
ファンなら誰でもよいわけではないため条件や世界観に合う有力人物となると、起用するまでなかなか難しいのがデメリットです。
アンバサダーにマッチする人物とは?
前述の通り、アンバサダーマーケティングの成否を握るのはアンバサダー本人です。
企業はどのようにして適切なアンバサダーを選ぶべきなのか、どの点に注目して自社にマッチする相手を探せばいいかをまとめてみましょう。
1「フォロワー数とエンゲージメント」
Instagramで自社商品の露出をチェックし、内容を精査するという草の根作戦もあります。
アンバサダーマーケティングは必ずしも数勝負ではありませんが、それでもフォロワー数は一応チェックしておきましょう。
ただそれよりも大切なのはエンゲージメント率です。
現在Instagramでは「いいね!」数が非表示となっているため数がわからなくなっていますが(PC版は閲覧可能)、ユーザーからのコメントをチェックして質の高いものを選びましょう。
対象人物とユーザーのやり取りを確認
基本的に、アンバサダーマーケティングの武器は口コミです。
普段のコメントがどのようなものか、どのように紹介しているのかをチェックし、質の高い人を選びましょう。
話題のメインが自分ではなく商品やサービスに関連していること、フォロワーが購入先やメーカーなどを話題にしていることが確認すべきポイントと言えるでしょう。
また質問には丁寧に回答していることも大切です。
2「雰囲気(ビジュアルの印象)」
Instagramはビジュアル勝負ですので、対象人物の雰囲気や世界観のマッチは大きなポイントです。
どのように売りたいか、企業によって方針も異なりますのでどういったテイストがよいかは一概に言えません。
投稿内容のブランディングを確認
ただ、写真にしろキャプションにしろ、投稿一つひとつが丁寧で、一貫した世界観があることが重要です。
腕のよいアンバサダーは、フォロワーの属性と推したい商品やサービスとをうまく結びつけるセンスがありますので、光るものを感じるアカウントを探しましょう。
こればかりは企業の宣伝広報担当者が、しっかり見て吟味する必要があります。
3「PR色や押し売り感がないか」
アンバサダーマーケティングにPR色が出てしまったらそれでアウトです。
競合商品に限らず、全体にPR色が強いアカウントは避けたほうが無難です。
企業PRをバンバン打っているようなアカウントはほかのユーザーからスルーされますし、起用しないほうが得策です。
アンバサダーマーケティングを好むユーザー層は、リアルな口コミや本音トークを好む特徴があるため、たとえフォロワーが多くても外すことをおすすめします。
迷ったときはインフルエンサーマーケティング会社を活用
アンバサダーマーケティングでは人選が非常に難しいのが実情です。
前述のチェック項目は最低限のことであり、アンバサダーマーケティングを実際に成功させるにはさらに多くの確認事項があります。
間違いのない起用を考えるなら、ノウハウを持つインフルエンサーマーケティング会社に相談することも検討すべきでしょう。
インフルエンサーマーケティング会社では要望に合わせて候補者をリストアップしてくれるので、最初から絞り込まれた相手を検討できます。
インターネットで広く一般から公募すれば簡単だと考えがちですが、実際には有力者がほとんど集まらないというケースも少なくありません。
逆に膨大な数の応募があった場合、企業が本業の片手間にできる範囲ではなく、候補者を一人ひとりチェックするのは大きな人的コストのロスにつながるでしょう。
アンバサダーマーケティング成功事例
インスタグラムにおいて成功している、過去のアンバサダーマーケティング事例を紹介します。
多くの人が知る大手企業が続々実施していることからもわかるように、アンバサダーマーケティングはSNS時代において非常に有効であり、魅力的なマーケティング手法と言えます。
但し企業がインスタグラムにおいてアンバサダーを広く一般募集する場合は、プレゼントキャンペーンに近い企画を打ち出しているケースがほとんどです。
- 対象商品を撮影
- 自身のインスタグラムアカウントに投稿する
といった条件であることがほとんどで、あまり難しい内容にはなっていない点が特筆できるでしょう。
そうした意味では本来のアンバサダーマーケティングとは少々異なり、ハッシュタグ「#」キャンペーンのような一般的なキャンペーンとの融合形とも言えます。
1「Tabio」
画像引用:https://www.instagram.com/tabio.jp/
女性から高い支持を受ける「靴下屋」を展開するメーカーがTabioです。
愛用者に向けたアンバサダー募集においては、当選者に毎月2~3足靴下を提供し、使用している写真をSNSへ投稿するという内容でした。
「条件はTabioの靴下が好きな事。」と銘打ち、私こそはというファンを集めました。
選ばれたアンバサダーは、オフィシャルアンバサダーとしてホームページに掲載するほか、投稿されたコーディネートのうち、センスのよいものはTabioのオンラインストアの商品モデルとして掲載されました。
2「アンファー(ベスト#まつ育アンバサダー)」
画像引用:https://www.wwdjapan.com/articles/257283
アンファーのまつ育美容法や商品を発信するキャンペーンで、もっとも貢献したアンバサダーにアンファーとの1年間のCM契約権を与えるというものでした。
「ベストまつ育アンバサダー」の決定はトーキョーガールズコレクションの場でおこなうという一大イベントも絡め、多くのターゲット層の女性を集めました。
3「EPSON(スマートキャンバス)」
画像引用:https://www.instagram.com/smartcanvas_epson/
EPSONはInstagramでアンバサダー募集キャンペーンをおこないました。
内容は、インスタグラマーにキャンペーンに応募してもらい、抽選で選ばれた人に自社の「Smart Canvas」をプレゼントするというものです。
3か月間で3回以上の投稿となっているため難しい条件ではまったくなく、非常に大きな反響を呼びました。
またインスタグラマーにとってもメリットがあるように、投稿写真はEPSON公式サイトや公式アカウントでも掲載される可能性があるとしています。
インスタグラマーは自身のアカウントのPRにもつながる仕組みになっているため、ユーザーメリットがある企画と言えるでしょう。
4「DHCブランドアンバサダー」
画像引用:https://www.instagram.com/dhc_official_jp/
DHCを愛用しているユーザーに、DHCの魅力を発信してもらうというプログラムでおこなわれました。
アンバサダーがすすめた商品がページから購入されたり、友達が新しくDHCの会員になったりするとポイントが付与され、それを換金できます。
金銭的にやりがいを与えたアンバサダー活動と言えます。
5「マイクロソフト Most Valuable Professional」
「マイクロソフトが個人の活動を評価する、特別な賞。」と銘打ち、実施したアンバサダーマーケティングです。
審査に選ばれたアンバサダーは、マイクロソフトの経営陣や技術者、各国代表アンバサダーなどと交流する権利を得ます。
普段会うことはない雲の上の人と会えることでアンバサダーのモチベーションを向上させ、その後もより意欲的に活動してもらうためのプログラムです。
6「ハニーベイクドハム」
ハムのメーカーが実施したアンバサダー募集キャンペーンです。
「ホームシェフ」と名付けたアンバサダーを募集し、応募したユーザーに毎月無料で2回ハムを提供するという企画を実施しました。
提供されたユーザーはそれを使って料理を作り、写真やレシピをInstagramに公開して指定ハッシュタグづけ投稿をすることで拡散するのが狙いです。
料理関連はインスタグラム投稿においても常に高いレベルで人気があるため、熱量の高いユーザーとターゲットに強く訴求できた企画だと言えます。
7「KIRIN(一番搾り)」
画像引用:https://www.instagram.com/kirin_brewery/
KIRINの一番搾りに関するクイズを出題し、アンバサダーの審査をおこなうプログラムでした。
8「calbee(ポテトファーム)」
画像引用:https://www.instagram.com/calbee_jp/
誰もが知る大手企業、カルビーにおけるアンバサダーキャンペーンです。
採用上限20名で実施されましたが、採用されるとカルビー製品4箱入りを計20箱もプレゼントするというリターンの大きさで反響を呼びました。
応募条件は、対象インスタグラムアカウントをフォローすること、投稿にコメントすることです。
アンバサダーとは言え特典の内容と条件からして、カルビーの関連アカウントの認知向上を目的としたSNSマーケティング色のほうが強いと言えるでしょう。
アンバサダーマーケティングには未来がある
アンバサダーマーケティングには多くのメリットがあり、実際に手法を用いている企業は規模を問わず存在します。
SNS時代が全盛期を迎え、これからアンバサダーマーケティングに期待されるのは、従来のような広告感や押し売り感のない宣伝です。
有名インフルエンサーのように多額の費用がかかるわけでもなく、マッチする人材さえ見つかればすぐにでもスタートできるのが魅力です。
但しアンバサダーを見つけることが一番のハードルであり、PR色もなく自社の世界観に合うファンを見出すことは簡単ではありません。
アンバサダーに対する条件を厳しくしすぎないことも大切ですが、アンバサダー起用にはインフルエンサーマーケティング会社を活用するなど工夫も必要です。