インターナルコミュニケーション(社内広報)
インターナルコミュニケーション(社内広報)とは、企業が社内で行う広報活動のことです。
近年、インターナルコミュニケーションは、多くの企業で取り入れられています。
海外では、2009年頃のリーマン・ショック以来、経営層と社員とのコミュニケーションが重視され始めました。
そして、コミュニケーションを増やすことで、社員の一体感や帰属意識を醸成(じょうせい)することが出来ました。
日本では、経営層が情報を発信すれば、社員は疑問もなく素直に情報を受け入れていました。
しかし、海外の意見を取り込み始めたことで、日本の企業は社内での取り組み方を見直し始めました。
そして、社員一人ひとりを尊重するために、様々なコミュニケーションツールを使い始めました。
経営層と社員や、社員同士の繋がりを広げていく取り組みが始まりました。
インターナルコミュニケーション(社内広報)の定義
インターナルコミュニケーションは、社内やグループ会社などの同一組織内での広報活動のことです。
- 社内広報
- インナーコミュニケーション
とも呼ばれることがあります。
また、
- 社内報
- 社内セミナー
- 対話集会
などを通じて、社内でのコミュニケーションを活性化させる活動のことを指します。
社内でのコミュニケーションを活性化させることで、組織の価値観や文化に対する知識や理解を深めることが出来ます。
インターナルコミュニケーションを行うことで、企業のビジョンを外部へ発信することが出来る社員を育成することが出来ます。
そして、組織全体の意識をまとめ、良い方向へと導く効果があります。
インターナルコミュニケーション(社内広報)の目的
インターナルコミュニケーションの目的は、
- 浸透
- 情報共有・連携
- 提言伝達
という3つに分類されます。
3つのうち、2つは役員と社員の相互理解に関わります。
例えば、企業理念や経営ビジョンは、一般的には経営層が決定します。
しかし、社員に対して企業理念や経営ビジョンを落とし込み、普段の業務へ反映させることは難しいです。
したがって、浸透的コミュニケーションを活性化させることが必要です。
経営層から社員に対して、企業理念や経営ビジョンを落とし込むことが出来ます。
また、現場の要望を経営層へ伝えることで、環境改善に繋げたいと考える社員はいます。
したがって、現場から経営層へ声を伝えやすくするために、提言的コミュニケーションを取る必要があります。
最後は、部門間や社員間での連携を強化することです。
会社が大きくなるほど、他の部署での活動内容を把握しづらくなります。
会社が小さい場合でも、社員ごとに携わる業務内容が異なる場合は、正確に把握しづらくなります。
したがって、協創的コミュニケーションを活性化する必要があります。
協創的コミュニケーションを活性化することで、会社全体の動きを理解しやすくなります。
また、社員それぞれの発言力が高くなることで、それぞれの成功事例などを共有しやすくなります。
したがって、業務の効率化に繋がる可能性があります。
また、他の部署との意見が交換され、新たな事業の企画が生まれる場合もあります。
インターナルコミュニケーション(社内広報)のメリット
インターナルコミュニケーションのメリットについて説明します。
主なインターナルコミュニケーションのメリットは、以下の通りです。
- 生産性の向上
- 社内外の情報マネジメント
- 組織風土の醸成
- コンプライアンスやセキュリティに対する意識向上
- 離職率の減少
上記のメリットについて、それぞれ詳しく説明していきます。
生産性の向上
インターナルコミュニケーションを活発に行うことで、生産性を向上することが出来ます。
社内での情報を共有することで、社員それぞれの業務の進捗を互いに把握することが出来ます。
他の社員の業務の進捗を把握することで、業務を適切かつ迅速に対応することが出来ます。
また、他の部署と共同のプロジェクトの進捗を管理しやすくなります。
社内全体で情報が行き届きやすくなり、他の部署との連携を取りやすくなります。
その結果、生産性を向上することが出来ます。
社内外の情報マネジメント
インターナルコミュニケーションを活発に行うことで、社内外の情報マネジメントを出来るようになります。
特に、大きな企業にとっては、日々の経営状況や環境の変化を社員に連絡することは重要です。
現代では、組織や事業が複雑化し、社員それぞれの職務に専門性や多様性が求められています。
したがって、社内の状況を分かりやすくし、共有することで、社内での判断を早めることが出来ます。
また、社内全体の情報を把握できると、余計なコンフリクトを減らすことが可能です。
業務がスムーズに進むことで、問題を減らし、ストレスなく業務に取り掛かることが出来ます。
組織風土の醸成
インターナルコミュニケーションには、組織風土の醸成という役割があります。
企業の企業理念や経営ビジョンは、経営層が決定しています。
しかし、社員には、明確な決定背景は伝えられていません。
その結果、なかなか社員まで企業理念や経営ビジョンが浸透することはありません。
社内報などで繰り返し発信することによって、企業理念や経営ビジョンの成立背景を知ってもらうことが出来ます。
成立背景を知ってもらうことが、企業理念や経営ビジョンを知ってもらう近道となります。
コンプライアンスやセキュリティに対する意識向上
近年、コンプライアンスやセキュリティに対して、非常に重要視されています。
それぞれについて問題が起きると、企業のイメージを損なう恐れがあります。
コンプライアンスは、実務に直結させて理解することが難しいです。
また、セキュリティは、普段の業務から意識することはありません。
したがって、理解を深めることが難しいです。
しかし、具体性のある事例や注意点を発信することで、身近なこととして感じてもらいやすくなります。
定期的に社内報などでインターナルコミュニケーションを取ることで、コンプライアンスやセキュリティに対する意識を向上することが出来ます。
離職率の減少
インターナルコミュニケーションが活性化することで、離職率が低くなります。
社員間での横のやり取りだけでなく、経営者などとの縦のやり取りを増やすことで、社員の不満を解決することが出来ます。
社員の不満を解決することで、社員にとって働きやすい良好な職場環境となります。
したがって、離職率の減少へと繋がります。
インターナルコミュニケーション(社内広報)の活動事例
インターナルコミュニケーションの活動事例について紹介します。
紹介する活動事例は、以下の通りです。
- 対話集会(タウンホールミーティング)
- メディアコミュニケーション(Web社内報・ブログ)
- ビデオコミュニケーション(YouTube・社内放送)
- 社員参加型イベント・社内表彰
- 現場訪問
- Goodjobカード・サンクスカード
- 日報
- 満足調査・アンケート
上記の事例について、それぞれ詳しく紹介していきます。
対話集会(タウンホールミーティング)
対話集会(タウンホールミーティング)は、経営層と社員が情報を共有する場のことです。
外資系企業などでは、インターナルコミュニケーションとして、活発に行われています。
活動内容は、
- 年度目標の確認
- 業績結果の共有
などが多いです。
企業によっては、Zoomなどを利用して、全社員が参加する場合があります。
経営層から社員に対して情報を発信する機会として、重要な役割を果たしています。
また、質疑応答やグループ討論などの場を設けることで、意見が一方通行になることはありません。
経営層が社員の疑問に答えることで、不満なく業務に取り掛かれるようになります。
したがって、業務の効率を向上させる役割もあります。
メディアコミュニケーション(Web社内報・ブログ)
近年、Webメディアを利用したインターナルコミュニケーションが主流になっています。
例えば、
- 様々な特集
- 社員へのインタビュー
- イラストを使った情報発信
など、様々なコンテンツがWebメディアから発信されています。
また、Webメディアの配信頻度よりも高い配信頻度にするために、社内向けブログを設立している企業も存在します。
ブログでは、
- 最近開催されたイベント
- 話題のトピック
などの特集を組まれていることが多いです。
社員にとっては、ブログは親しみの湧きやすい内容のものが多いです。
ビデオコミュニケーション(YouTube・社内放送)
企業の勉強用コンテンツとして、YouTubeなどの動画を利用した情報発信を利用する企業が増加しています。
例えば、今後発表される新たな事業内容や業務に関する法令改正など、全社員に周知しておくべき内容を動画にしています。
企業によっては、
などの様々なSNSをコミュニケーションツールとして利用しています。
Facebookやインスタグラムは、対外向けの広告として利用する場合が多いです。
そして、新サービスなどの自社の情報をしっかりと把握しておくために、社員全員にフォローを進める場合があります。
また、ChatWorkやSlackなどのチャットツールでは、社内でのコミュニケーションのために使用されています。
ビジネス向けに開発されているので、スケジュールの共有などに優れています。
そして、スムーズな情報伝達を行いたい場合などに大いに役立ちます。
社員参加型イベント・社内表彰
社員参加型イベントや社内表彰は、インターナルコミュニケーションとして大いに役立ちます。
イベントでは、自分の部下以外の社員と交流することが出来ます。
普段関わることのない社員とコミュニケーションを取ることで、新たなプロジェクトのきっかけになる場合があります。
また、社内表彰を行うことで、どのような実績を挙げている社員がいるのかを知ることが出来ます。
同じ社員同士のモチベーションの向上にも繋がるため、社内表彰は企業の成長に役立ちます。
社員参加型イベントや社内表彰などは、日常とは異なる交流の場として、企業には必要です。
現場訪問
経営層が現場へ訪れることで、社員の士気の向上や課題の発見に繋がります。
同時に、現場の社員と食事会などを行うことで、直接経営層と社員の間で意見交換を行うことが出来ます。
普段感じている不満や問題などを、お互いに直接意見交換することで、事業の発展に繋がります。
また、不満や問題を解消することで、離職率の低下に繋がります。
Goodjobカード・サンクスカード
Goodjobカードは、素晴らしい活躍をした社員をたたえるためのカードです。
また、サンクスカードは、日ごろお世話になった同僚に感謝の気持ちを伝えるためにカードです。
普段から伝えることが出来ない気持ちを形にすることで、人間関係を良くすることが出来ます。
また、職場環境をより良く改善することが出来ます。
日報
日報は、インターナルコミュニケーションのうちのひとつです。
部下が日々どのような仕事に取り組んだのかを、上司が知るための手段です。
また、現場の状況を本部の社員が知る手段として利用されます。
業務の進行状況の把握をするのに便利な手段と言えます。
満足調査・アンケート
満足度調査やアンケートは、多くの企業が定期的に行っています。
満足度調査やアンケートでは、直接言いにくい不満でも、匿名性を活かして伝えることが出来ます。
普段から抱えている業務に関する不満を聞くためには、最適な手段と言えます。
働きやすい環境を作るためには、大いに役立ちます。
まとめ
インターナルコミュニケーションを活性化するためには、様々な方法が存在します。
どのような目的なのかをしっかりと考え、目的に応じた方法を選択することが大切です。
また、すでにインターナルコミュニケーションを実施している企業は、改めて目的を再確認してみましょう。
社内でのコミュニケーションをより活性化させることが出来ます。
働きやすい環境を作るためには、インターナルコミュニケーションは欠かせない存在です。
経営層と社員の間だけでなく、全社員間での広いコミュニケーションを取れる環境は大切です。