いち早くオーガニック素材に着目し、「時間と調和」というコンセプトのもと、人と衣服の関係性を追求し続けてきたsuzuki takayuki(スズキ タカユキ)。トレンドに左右されない強いメッセージ性、優しさの中に緊張感が同居するクリエイションによって、自然回帰/エコブームとともに氾濫する多くのオーガニックウェアとは一線を画し、独自の存在感を示してきたブランドだ。あくまでも自然体で、そして真摯に服作りに取り組むデザイナー、スズキ タカユキさんにお話を伺った。
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「森ガール」が流行語になるなど、ファッションの世界でも「オーガニック」や「エコ」といったキーワードが注目されています。スズキさんは、ブランドを立ち上げた02年以降、一貫してオーガニック素材に着目されてきましたが、現在のブームをどのように見ていますか?
スズキ:僕がブランドを始めた頃は、まだそういう服はあまりありませんでした。だからこそ、自分がやることに意味があったし、社会への提案としても面白かったと思います。最近は、環境問題などとともに、オーガニックでナチュラルな洋服が市民権を得て、リラックスウェアなども増えてきました。「リラックス」や「ナチュラル」というのは、自分にとっても大きな要素ですが、第一に考えていることは、身体と洋服の関係性や、時間というものなんです。僕の場合は、時の流れが目に見えること、有機的なもの同士の相乗効果によって、人のエネルギーを引き出していけることなどから、天然素材を選んでいるところがあるので、あまりブームは意識せず、自分のクリエイションを続けていければと思っています。
「時の流れ」を表現していくことが、ブランドの大きなテーマだということですが、具体的にはどのような意識で取り組んでいるのですか?
スズキ:たとえば、洗い加工やダメージ加工というのは、時間の流れを感じてもらうためにするものだと思っていますが、自分たちができることは、あくまでも時間を意識してもらうための入口を作ること。加工がかなりなされているイメージがあるかもしれませんが、実はそんなに加工してはいないんです。それは、洋服を着てくれる人とともに時間が経過していくことに意味があると思っているからです。たとえどんなにリアルな加工がされていたとしても、その人が着た時に自然にできるダメージと違っていてはリアリティがない。あくまでも人が主役という意識が服作りの根底にあるんです。
「時間と調和」がブランドのコンセプトとして掲げられていますが、「調和」についてもお話を聞かせてください。
スズキ:自分が美しいと感じる洋服は、シャープでありながら優しく、未来的でありながらプリミティブなエネルギーもあり、マスキュリンでありながらフェミニンの要素もあるというように、あらゆる要素が含まれているものなんです。それらの要素が、ここでしかバランスが取れないという1点に立って、存在しているようなものに憧れます。社会の情勢や人間の感情というのは、とても複雑なものですよね。そうした状況の中にある洋服というのも、ひと言で分かりやすく説明できるものではないはずなんです。天然素材を使っていて、質感が際立っていればうちの服かと言うと、そんなに単純なことではなく、もっとギリギリのところで調和が取れているようなものを提案したいと思っています。
そうした考えは、ブランド設立当時から変わらずにあるものなのですか?
スズキ:そうですね。ただ、僕はもともと大学時代にグラフィックを学んでいて、服作りを始めたのは、飲み屋で話していた時に友人から影響を受けたのがきっかけなんです(笑)。当時は、服を半分燃やしたり、コンクリートで固めたりして、それをアートピースとしてギャラリーに展示していました。その頃は、洋服がモノとして成立していればそれでいいと思っていたところがあった。その後、コンテンポラリーダンスの舞台衣装などをやらせてもらうようになり、その辺りからファッションの世界ともつながりができてきました。より多くの人に自分の服を着てもらう機会ができると、そこでの反応やコミュニケーション、人の意識の部分などに興味が出てきて、それがブランドを立ち上げるきっかけにもなりました。もちろん、服を服として作り込んでいくというのもひとつのやり方ですが、洋服を着ることで、その人が違う印象に見えるようなものを作りたいという思いが今は強いですね。









