SOMARTA(ソマルタ)は、女性の身体の美しさにフォーカスし、服を纏うことでさらに美しさを引き出すような、女性的な美を追求しているブランドだ。ボディコンシャスでありながら、セクシーさよりもアート的な美しさを感じさせる服は、大人の女性たちを魅了している。「とても女性らしく、強そうだけど優しい感じもある。大人と子供の中間」と理想の女性像を語る廣川さんに、最新コレクションのことやファッションへの熱い思いを語っていただいた。
2011年春夏コレクションのテーマ「MICROCOSMOGRAPHIA」(ミクロコスモグラフィア)は、あまり聞きなれない言葉ですね。どういったきっかけで、テーマとして取り上げようと思われたのですか?
廣川:前シーズン(2010-11年秋冬)は「好奇心の部屋」をテーマにしていましたが、その元となったのが「MICROCOSMOGRAPHIA マーク・ダイオンの『驚異の部屋』」展という、アメリカの現代美術家マーク・ダイオン氏と東京大学のコラボレーションによる展覧会でした。その後、展覧会を監修されていた東京大学の西野嘉章さんの著書『ミクロコスモグラフィア マーク・ダイオンの[驚異の部屋]講義録』を読み、今回はMICROCOSMOGRAPHIAという言葉を引用させていただき、テーマにしようと思いました。
どちらも、"部屋の中の一部" のような、ある一部を切り取ってフィーチャーしている。前回のコレクションは実際に人の目で見える生物や鉱物など、純粋にわくわく、どきどきする感動を表現したシーズンでしたが、今回は小宇宙のようなミクロの世界をイメージしていて、見る視点を移すことで、より視野を広げていこうという試みでした。よく見ると立体的なテクスチャーの光るプリントが施されているなど、テキスタイルにこだわったものづくりをしました。見えるという受動的な感動ではなく、見るという好奇心から生まれるあらたな感動を表現したかったのです。
もともとSOMARTAでは、無縫製のニットウエア「スキンシリーズ」を展開されていて、皮膚や細胞といったディテールにこだわっているイメージがあります。
廣川:好きなものがあまり変わらないのだと思います(笑)。ずっと人類学や生物学が好きで、それを服に落とし込んでいます。
この2011年春夏も、ファイナルを飾るにふさわしい圧巻のショーでした。発表後の周りからの反応はいかがでしたか?
廣川:「感動した」とおっしゃっていただくことが多く、うれしかったですね。特に、後半のブルーのビーズが施された総手刺繍のスキンシリーズ[上写真 左]や、終盤の薄羽根のような2ルック[上写真 中・右]が人気でした。
廣川さんがデザイナーを目指されたきっかけは?
廣川:もともと美術が好きで、何かものづくりができる仕事をしたいなとおぼろげに考えていました。高校生で進路を考える時に、専門的な職業に就きたかったこともあって、美術大学に進学しようかと迷いましたが、ファッションデザイナーの道を選び専門学校に進みました。
美術部でしたが、昔から人物が好きで、人の絵をたくさん描いていましたね。ファッション雑誌もよく見ていて、美しい女性の姿にとても惹かれ、自分もこんな美しい女性像を表現できるような仕事ができたらいいなと思いました。
学校卒業後にイッセイミヤケに入社され、SOMA DESIGNとして独立されたわけですが、振り返ってみていかがですか?
廣川:イッセイミヤケには8年ほど在籍していました。レディス、メンズコレクションとも携われ、ニットも担当していました。クリエーションに寛容な会社だったので、その分多くのことを学べましたね。はじめはメンズ、のちにレディスのコレクションを担当していましたが、(アパレルの)仕事の全体的なサイクルもわかったので、次へのステップアップとして独立することを選びました。ちょうど30歳だったこともあり、20代は会社に勤めたので、30代は自分の好きなことをやろうと思いました。
SOMA DESIGNを立上げ当時は私だけでしたが、現在は音楽やグラフィックを専門とするメンバーもいます。ファッションに限らず大きな意味でのデザインをやりたかったので、SOMA DESIGNはアパレル会社というより、デザイン会社というスタンスでいます。ファッションの能力を活かしながらも、もともとアートや建築、プロダクトデザインにも興味があったので、ファッション以外の分野での取り組みもできたら面白いなと考えています。
実際にSOMARTAのコレクションでは、ブランドイメージやグラフィック、音楽に映像に至るまでSOMA DESIGNがプロデュースするかたちで発表しています。
2011年春夏に初めてショーをされたメンズ&レディスブランド「MOLFIC(モルフィック)」(デザイナー:森崇)もSOMA DESIGN所属ですが、SOMARTAとはまた違う方向性のブランドという感じがしました。SOMARTAとしては、メンズ展開を考えられていないのですか?
廣川:デザイナーの森も同じSOMA DESIGN所属ですが、SOMARTAとMOLFICはまったく違う性質のものだと思っています。MOLFICは服へのアプローチがプロダクトデザインに近く、ものづくりも工業用の機械を使うなど、ソマルタとは違う手法やこだわりで表現しているブランドです。
SOMARTAのメンズ展開については、そうですね…… 実際、要望は多く、若い方を中心に男性ファンもたくさんいらっしゃるので、いずれは展開したいと考えていますが、もっと(レディスと)見る視点を変えてやらなければと思っています。









