本間正章 | Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO


INTERVIEW&REPORT
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Masaaki Homma

本間正章

mastermind JAPAN

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1月11日生まれ。新潟県出身。ヨウジヤマモトでの販売、セレクトショップのショップマネージャーを経て、1997年にマスターマインド ジャパン設立。1999年メンズブランドとして初のショーを東京で開催。2001年パリの展示会に出展、インポートを開始。2004年よりパリでの展示会を単独で開催。これまでアディダスやゴヤールなど、数々のメーカーとコラボレーションしている。現在、LAはじめNY、ロンドン、アジア諸国などの海外高級セレクトショップにて取扱い。国内外のセレブリティやアスリート、ミュージシャン、俳優など熱烈なファンが多い。ブランド創設15周年を迎える2013年春夏で活動休止することを宣言している。

「mastermindとは "ひとつのことに才能が長けている人"、他にも“首謀者”という意味もあって、良くも悪くも使われる言葉なんです」と話すのは、mastermind JAPAN(マスターマインド・ジャパン、以下マスターマインド)のデザイナー本間正章さんだ。
今や、"もっとも世界中に多くのファンを持つ、東京生まれのハイブランド" と言っても過言ではない程、世界的に高く評価されているブランドだが、デビュー時から順調だったわけではない。この地位に辿り着くまでには、たくさんの努力や苦労があった。そして、ブランドコンセプトである“LOVE&PEACE”が、ものづくりからそれに関わる人々やファンに向けて、さらには本間さんの生き方の根底にあるのだ。
昨年、開催された「mastermind WORLD」のお話やマスターマインドのスタートから現在までのこと、さらに東京ファッションやマーケットについてインタビューした。

2010年11月に、香港コンベンションセンターで「mastermind WORLD」を開催され、マスターマインドならではの多彩なコラボレーターやモデルたちが出演し、盛大で豪華なショーでした。どういった経緯で、香港でショーを開催されたのでしょうか?

本間:アジアはマーケットとして外せません。マスターマインドも日本と同じくらい取引先があり、たくさんのお客様がいます。毎シーズンショーをやっているわけではないので、ショーを開催することでひとつのサービスになるのではと考えていました。ご招待したのも、香港、マカオなど、日本以外のアジアのお客様が中心です。

「mastermind WORLD」では、2011年春夏と2010-11年秋冬コレクションを、合同で発表されました。

本間:今回のショーには特別な部分があって、純粋に顧客に喜んでもらいたいというのと、マスターマインドの世界観を見せたいという趣旨がありました。11月半ばに行ったので、時期的には新作(2011年春夏)を見せるにはちょうど良いタイミングでしたが、同時に今、店頭で売られている2010-11年秋冬商品も見せることで、店頭の消化率も上がります。世界観を見せるだけでなく、お客様にも店側にもメリットのあることをやることが私たちの信念です。
今回のショーは、AWから始まり、コラボレーションを差し込み、新作で締めるという3部構成にしました。今、アジアでは政治的な問題が多いので、もっと "LOVE&PEACE" であって欲しいという願いを込めて、ショーの音楽は、ジョン・レノンの「IMAGINE」から始まり、ボブ・マーリー「ONE LOVE」、最後に「We Are The World」で終わるという構成にしました。

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今のマスターマインドからは想像がつきませんが、本間さんはブランドを立ち上げて数年間は大変苦労されたそうですね。

本間:最初の5年間はすごく厳しかったですね。100万円のオーダーを取るのも大変でしたから。僕が海外に出たのは、世界で勝負しようと思っていたわけではなく、本当はブランドを止めようと思ったからなんです。立ち上げから3年間は本当に売れなくて、“ここまで売れないなんて才能ないのかな”と思っていました。ただ、ブランドを止めるにも、今までお世話になった生地屋さんや縫製工場さんに、“ここまでやっても、やっぱりダメでした”という理由が欲しかった。“売れないしお金もないし、もう諦めます”と言うのはすごく簡単でしたが、それでは「頑張れよ」と言ってくれた人に対して失礼かなと思ったんです。それで海外に出て、それでも売れなかったら止めようと。海外でも最初は、反応は良くてもオーダーはもらえませんでした。1シーズン目から来てくれていたあるバイヤーが2シーズン目に、「君の商品はテイストも好きだし良いと思うが、アメリカで売るのは難しい」と言われたんです。クオリティに対してコストが見合わないということだと思いますが、当時はTシャツで4,000円程度の価格で売っていたので、それでも高いと言われて考えましたね。安くするにはロット数を増やせばいいのかもしれませんが取引先がないのにこれ以上作ったら借金や在庫が増えるイメージしかなく…。その時、比べられるものがない商品を作ればいいんだと思ったんです。高くても正当な理由のある商品ならばいいんだ、とバイヤーのアドバイスとは逆の方向に突っ走ったんです。それで結果的には、Tシャツ5万円とかセーター20万円といった商品になってしまいました。質は本当に良いので、展示会で商品を一目見たバイヤーは、「すぐにオーダーシート出してよ」と言ってきましたが、値段を見て「君たちクレイジーだね。こんな値段で誰が買うんだ」と(笑)。アドバイスをくれた例のバイヤーもオーダーシートを見て険しい顔をして去っていきました。でも、戻ってきてくれて、張り詰めた空気が漂った後、「オーダーするよ」と何百万円もオーダーしてくれたんです。その時は知らなかったのですが、彼はLAの有名セレクトショップ「マックスフィールド」のバイヤーだったんです。

ブランドとしての転機、大きなビジネスチャンスになったのではないでしょうか?

本間:最初は本当にオーダーしてくれるかどうか信じられなくて、後になってキャンセルされるんじゃないかと不安でした。しかし、ちゃんと入金してくれて、そうなると今度は“こんな高い商品、店頭で売れるのかな”という不安がありましたが、店頭に出て2週間で完売し、在庫を全部欲しいという連絡が来たんです。その時に、僕らの商品が売れるようなマーケットやお店が存在するんだなと思ったんです。すごく遠くにですが、希望の光が見えた瞬間でした。「儲けよう」とか「売れたい」とかではなく、デザイナーとして何のために服を作っているかということを改めて考えたきっかけにもなりました。こんなに値段の高い商品をオーダーしてくれて売ってくれたお店や、買ってくれたお客様に対する意識も変わりましたね。「このブランド、いつの間にかなくなっていた」では申し訳ない、「気がついたらこんなすごいブランドに成長していた」と言わせたい。誰しもブランドに対して期待を持っていると思うんです。「モノは良くても、こんなブランド見たことも聞いたこともない」ではブランドとして力不足で、お客様が「マスターマインドを知らなかったの?」と誰かに自慢できるようなブランドにしたい。それがブランドとしての宿命であり、恩返しだと思っています。

4,000円のTシャツから5万円のTシャツを作るブランドへの転換は、生産面でもご苦労があったのではないでしょうか?

本間:生産面では楽になりました。2000年前後はちょうどユニクロブームで、その中でマスターマインドは時代に逆行していたので、生地屋さんに「カシミヤ100%のフェルトを探しています」と言うと「君たち本気?」と言われて(笑)。この時代に高級な生地を使うところは他にありませんでしたから。10mとか5mとか必要な分だけ売ってくれたので、僕らにとっては買いやすかったです。生地屋さんも親切にしてくれましたし、縫製工場さんも良い生地はわかるので、とても協力的でした。すべての歯車が上手く噛み合っていったように思います。
ジャパンクリエーション(日本最大の繊維総合見本市。通称JC)にも第1回目から行っていますが、3日間毎日足を運び、名刺交換してスワッチ(生地見本)をお願いしても、実際に送ってくれるところは5社程度でした。その中で、商談に結びつくのは1社あったかないか。でも、その1社が2社になり3社になり…今でもJCに行っていますが、最近最近では名刺を置くと追いかけてきてくれます(笑)。
生地屋さんにしても縫製工場さんにしても、良い生地や加工があるけど高くてどのブランドも使えないという宝の持ち腐れになりそうな時に、「マスターマインドなら使ってくれるのでは!」と持ち込んできてくれます。僕らは、新しいメイドインジャパンの技術を追求しているわけではありません。高い技術はずっと前からあって、金額の問題でどのブランドも活かせなかっただけなんです。僕らは本当に良いと思うものを使い、形にした結果の金額。誰も見たことがないものは、海外でも驚いてくれる。だから、世界で唯一の服になるんです。日本にはまだすごい技術がたくさん埋もれていて、それをひとつひとつ世に出していったことで商品の独自性を高め、「これだけ凝っていたら、この金額でもしょうがない」と思ってもらえるブランドになれたのだと思います。

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