東京らしい小粋な感覚が人気のブランド、beautiful people(ビューティフルピープル)。大人から子供、モード好きからトラッドカジュアル派まで、年代やテイストを問わず "着たい" とくすぐられるアイテムが並ぶ様は、まさにファッションのデモクラシーだ。ジャパン・ファッション・ウィークの初日を飾る、デザイナーの熊切秀典さんにお話を伺った。
熊切さんがデザイナーになろうと思ったきっかけは?
熊切:もともと実家がニットをやっていて、母親が編み物の先生なので、小さい頃からファッションが身近にありましたが、特にファッションの道に進みたいとは思っていませんでした。大学を目指して一浪して、また落ちるなと感じていた受験の翌日、母親が文化(服装学院)の入学冊子を持って来てくれたんです。多分親も落ちるなって思っていたんでしょうね。親の勧めで文化に進学したのが、ファッションに携わるようになったきっかけです。
卒業後、人気ブランドのパタンナーを経て会社を設立。ブランドbeautiful peopleをスタートされたんですね。
熊切:ブランドを立ち上げるときに、何か今までにない新しい姿勢や新しい価値観が出せればいいなと思っていました。大層な言葉になっちゃいますが、"社会が良くなればいいな" という気持ちです。新しいことと言っても、今までに無いものというより、今まで気付かなかったことかも知れません。
beautiful peopleというブランド名の由来は?
熊切:名前はたまたま "降りてきた" 感じ。その後で、"beautiful people" という言葉を調べてみると、「セレブ」や「ファッションを作る人」などの意味があり、さらに気に入った。特に、作っている僕らは普通の人なのに「セレブ」という意味のある言葉をブランド名にするのは楽しい、面白いと思いました。
「クリエーション」を一言で言うと?
熊切:皆さんに新しい刺激を与える服になればいいなと思いながらやっています。例えば、デビュー当時からやっているのが、大人の服を子供のサイズで作るキッズシリーズ。誰が見ても「袖なんて通らないでしょ」と思うほど小さいけれど、パターンのテクニックでちゃんと着られるんです。最初は本当に小さかったですね。今のキッズシリーズのサンプルは140cmなので、なんとか着られそうに見えますが、当時のサンプルサイズはすべて120cm。6歳~7歳の子供用の大きさなので、皆にびっくりされました。そういったユーモアや驚きを大切にしています。
どんなデビューコレクションでしたか。
熊切:シルク100%のシフォンでミリタリーアイテムを作ったり、いわゆるヴィンテージデニムのディテールをすべて刺繍に置き換えて作ったり。いろいろやっていましたが、どれも今に繋がります。オートクチュール的な刺繍とカジュアルの一番の象徴であるデニムをくっつけたり、ミリタリーとシルクシフォンだったり、大人と子供だったり、対称にあるものをぶつけて…というコンセプト通りのことをやっていましたね。
インスピレーションの源は?
熊切:"日常" です。最近は日常で思いついたことをTwitterでつぶやいています(→@h_kumakiri)。結構ネタをたくさん出していますよ(笑)。僕はインスピレーションを求めて雑誌や本、昔の資料はあんまり見ないタイプ。日常からふと思いつくんです。例えば、タバコの「KOOL」のタイポグラフィで遊んだTシャツ。この上にジャケット着て、両端が隠れると、中央の "OO" の重なった部分が某ラグジュアリーブランドのマークに見えるんですけど、これも街を歩いているときにタバコの自販機を見て閃きました。東京に住んでいる人が作っているブランドというのは意識していますね。ただ僕の行動範囲は東京タワーから六本木ヒルズ、明治通りと、とても狭い範囲ですが……。






